晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

日本民藝館「アイヌの美しき手仕事」へ

日本民藝館アイヌの美しき手仕事」へ。平日だけど、会期終了間際なのもあってか若干混んでいました。
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曲線的で角のように尖ったアイヌ独特の模様のある衣服や木彫り、大ぶりで存在感のある装身具など、独自の美しい手仕事がたくさんでした。どれもが手間を惜しまず作られていたのが印象的。衣服は無地や縞、格子柄の織物の上にアップリケのように生地をのせたり、くり貫いた生地をまつりつけて、その上から刺繍のようなステッチで曲線模様が描かれていた。袖口や裾には柄物の生地が配されているものもあったけれど、刺繍などの装飾と模様同士が調和していた。素材も樹皮のようなもので織られたりしていた。木彫りは使用されて月日がたって、木のつやや色の深みが美しく、模様を浮き立たせていた。自然豊かな土地の産物と思われる品々で、自然豊かだからこそ、神聖さもあるんだなと思いました。

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静岡市立芹沢銈介美術館の「アイヌの衣裳」という小冊子が写真がいっぱいで解説もあって、320円という破格。見応えあります。

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 今回、2階の箱ものの部屋で松本民芸館を作った丸山太郎さんの卵殻貼の箱を見つけて、本業と民芸館がありながらこのような創作をしていた熱意に改めて尊敬です。

また、1階の台湾原住民の手仕事も素晴らしく、ビーズを多用した装飾や日本の東北地方のこぎん刺しに似た模様の織物などが多く、全体的に赤など鮮やかな配色で華やかさがありましたが、距離的に近いからか親しみを感じました。

全体的に芹沢銈介による収集や展示構成などの仕事の大きさ、熱量の高さを感じ、この人もすごくエネルギッシュだったんだなと思った。ものを見て、手に入れ、その見せ方を考えて、それら一連がまた自身の創作に生きていくという循環みたいなのがあったんだなって思った。熱さを感じる展示でした。

展示は11月23日(月祝)まで。

※現段階では事前予約はなしでした。

五島美術館「平安の書画ー古筆・絵巻・歌仙絵ー」へ

五島美術館「平安の書画ー古筆・絵巻・歌仙絵ー」へ。
気分転換にあまり見ない「書」を見に行きました。

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うっすら紅葉してるみたい。
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紀貫之のかな文字は流れるように美しかった。他にも小野道風藤原行成など三蹟の書や、著名な古人の筆跡を集めたアルバムみたいな大手鑑などあって、綺麗だなぁと見てきました。唐紙を使っているものや、表装に使われた紙や布地と文字の配置とか、絵とはまた違う美意識がある。それに加えて、書かれた歌などの内容も理解することも考えたら書は教養が必要だなって思った。まだまだ全然わからない。

そんな中でも、特別美しく感じたのは石山切。美しかった染紙を破り継いだ装飾料紙にその意匠に調和するように配されたかな文字。

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切り売りされたエピソードが有名な「佐竹本三十六歌仙絵」は清原元輔の部分が五島美術館の所蔵で、こちらも展示されていた。清少納言のお父さんで、百人一首の「契りきな かたみに袖をしぼりつつ…」の人。(この歌はちょっと怖いけど)

いろいろ奥深く、理解が追いつかない世界ではあるけど、ただ見るだけで十分美しかった。

庭園はまだ紅葉してなくて、緑が光にあたって綺麗。初めて二子玉川側から美術館を出ましたが、こちらの出口には立派な門がありました。
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今日もまた、やっぱり五島慶太翁はいろいろすごいと思った。この美術館は私的に、行く度にじわじわ好きになってます。

2回目。岩立フォークテキスタイルミュージアム「グジャラート州大地の針仕事・前期」へ

岩立フォークテキスタイルミュージアムグジャラート州大地の針仕事・前期」へ。前回とても感動したので再訪。2回目です。
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展示替えで新しいものもありましたが、全てが初見のような新鮮さを感じながらまた楽しく拝見しました。
今回は館長がちょうどお見えになられて、いろいろとお話を伺え、とても嬉しかったです。現地の方々の暮らしや風習そして蒐集時のご心境など、少しですがお聞かせいただけたことで、保存状態も含めた展示品そのものと今ここで見ることが出来る機会の貴重さに改めて感謝の気持ちになりました。
手作りする必要性、幼少時から手仕事や技術に触れ学べる環境、暮らしのある程度の豊かさ、製作に費やせる時間的余裕があるから作られた品々。今や未来は現地の方々のご状況や考え方も変化していく部分もあって全く同じものができないことは想像できます。自分も便利さや自由を享受していながら、失われゆく手仕事を惜しむのは矛盾してるので、複雑な気持ちになります。
とはいえ、素晴らしい手仕事を見られて本当に良かったです。後期の更紗も楽しみ。

前期は本日まで。事前予約制です
後期は11月26日~2021年3月13日まで
ラジャスターン州 伝統の木版更紗と絞り

※事前予約制です。

美術館を出て、路面店をいろいろと見たりお買い物をしながら、九品仏・浄真寺へ。広々とした境内はイチョウの紅葉が少しずつ始まっていました。
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「大津絵」東京ステーションギャラリー

東京ステーションギャラリー「もうひとつの江戸絵画 大津絵」へ。
会期が明後日8日(日)までです。

出掛けるの躊躇してる間にこんなギリギリになってしまって、最終の土日よりは金曜夜間の方が混んでないかなと思ったけど、空いてはなかったです。でもストレスなく静かな雰囲気で見られました。監視の方が道順を教えてくださるのも全部ジェスチュアだったりと徹底してるので、観覧してる方々も黙々と見てました。
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展示は歴代の所有者が明示されていて、誰がどんなもの持っていたのかな?とか興味深く見られました。大津絵のファンは広くたくさんいらっしゃって、あの人もこの人も!と見るのが面白かったです。同じ画題でも描く人によって全然雰囲気が違ったりするのも面白かった。思わず笑みがこぼれるような滑稽な姿や表情だったり、可愛らしい作品も多かったです。
個人的には柳宗悦の所蔵品だったものが良かった。竹の額に入っていたり、表装の生地も趣味が良くて、さすがと思いました。収集してた方ごとの展示になっていたので、それぞれの好みみたいなものも感じました。吾八の店主が初めて大津絵の展覧会を開催したとか、当時の人間模様みたいなのも垣間見られていろいろ楽しい展示でした。

立地や帰り道の混雑とかいろいろ考えてしまって、図録を買って早めに退散。

夜の東京駅はやっぱり綺麗。丸の内側は特に。駅舎の中も。
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東博で買ったこちらの本で予習してから行ったので、画題の面白さも伝わってきて楽しみが増しました。

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 東京駅へ来たらやっぱりエリックサウス。安定の美味しさ。夜早めだったとはいえ、こんなに空いてるのは初めてだったのでチャイもいただきました。八重洲のエリックサウス大好きなので、またすぐにでも行きたいな。

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文化学園博物館「世界の藍」と新宿伊勢丹のトムサックスのお店へ

文化学園博物館「世界の藍」へ。

これ撮ろうとするといつもいろいろと映り込んで難しいです。
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チラシの写真。

中国のもの。金色の繊細で豪華な刺繍を受け止められる藍の色の深さが素晴らしい。
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「世界の藍」というタイトル通り、世界各国で昔から親しまれてきた藍を用いた衣服を集めた展覧会。藍は昔から世界中で染色に使われており、地域ごとに植物の種類や使用方法が異なる中、日本とアフリカは共通した染め方をしていて、藍を発酵させて建てる時には灰汁を使うという同じ方法をしているそうです。遠いアフリカに親近感を持ちました。
日本国内でも昔から武士から庶民までの多くの人の暮らしの中で、染めだけでなく絣や絞りを始めとした多様な技法を見ることができた。また、日本だけでなく世界の国々の藍を用いた衣服などを見ることができ、その多様さと世界中で愛され重宝されてきたということが伝わってくる。生葉で染めた淡い水色から、深いインディゴブルーの濃紺まで藍色の色味もたくさんあり、生地を染めたもの、糸を染めて織ったり加工したもの、染めた生地にさらになんらかの塗装を施して光沢を出したもの、藍の生地に刺繍を施したもの、多色使いの模様やデザインの中の一色として藍色を用いたものなど、表現が多様で面白かった。

今回私の中で一番好きな展示品。絞りでこの表現ができるなんて・・・計算された模様に驚きました。色の濃さが違ったりかすれてたりする部分も含めて素敵。f:id:akio422:20210218212554j:image

刺し子。無地と絣の生地を剥ぎ合わせて、いくつかの伝統文様で刺し子がされている。こちらが仕事着とはなんて贅沢!と現代の感覚で思ったけれど、当時は必要に迫られて労働で忙しい中で時間も捻出して制作されていて、その中でできるだけの豊かさを詰め込んだものだったから、今見て美しく感じるのかもしれない。自分や家族のためで手間も惜しんだことと思ったり。
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その他、世界各国の多くの素晴らしいものが展示されており、解説を読むとその地域ならではの必要性や美意識も垣間見えて面白かった。豊富な情報と知識を含みつつ、感性でも楽しめる展示でした。

12月18日(金)まで。

 新宿も久しぶり。学生の時も乗り換えがてらよく寄り道したし、社会人になってから京都に引っ越すまでは新宿勤務だったので新宿はいろんな場所が懐かしい。
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もう一つ見たかった場所。

伊勢丹新宿店「Tom Sachs:Retail Experience トム・サックス:店舗体験」へ。

トム・サックスが作った商品が実際に買えるお店になっています。デザインかっこいい。イサム・ノグチの照明の足?がMakitaの工具の一部とか、オペラシティの展覧会を思い出します。もちろんNASAのお茶碗もあったりして、トムサックスワールドのクスッと笑えるけれどメッセージ性もあって、でも見た目がスマートなのは心惹かれる。実際に買えるお店というのもおもしろかった。
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施設はたくさんのスタッフや機器や消毒液などを投入されて感染症対策もしていただいているけれど、久しぶりにたくさんの人を見て恐怖を感じてしまった。コロナは本当に一瞬にして心理まで変えてしまうものだと改めて思った。とはいえ、こうして日常にお買い物や展覧会をして下さることに感謝します。

 

 

 

東京国立博物館東洋館

東京国立博物館東洋館は美の宝庫。
中でも2階の素晴らしさは私には特別です。

今日はこの1枚目の壺が本当に綺麗すぎて、これが一番好きでした。イランの出土品。

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イランやシリアで出土されたものは惹き付けられる。このあたりの地域は不思議な魅力があって、ただ綺麗なだけじゃない想像が及ばないような計り知れないようなものを秘めてると感じる。2階に行くと本当にいつもうっとりしてしまう。

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 久しぶりに東博へ来て、東洋館に来て、美しいものを見て感動できてよかった。

 

 

「桃山展」久しぶりの東博へ

東京国立博物館「桃山展」へ。事前予約制で観覧料2400円なのもあってか、ゆっくり見られました。コロナがなかったら、きっと行列・押し合い覚悟な展覧会。一人で来てる男性が多い印象。年齢層は高めでした。
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見たかったのは狩野永徳洛中洛外図屏風(上杉家本)です。本などで見る機会がある度にいつか見てみたいと思っていました。とても綺麗だった。ここだけ人がいっぱいであまり近寄れなくて人気の高さを感じる。

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永徳はじめ狩野派長谷川等伯、土佐派などの屏風や障壁画がたくさん並んでいて、これぞ大展覧会!2400円払う価値あると、私は思いました。多すぎて理解しきれなかったかもしれないけれど、理解というよりこの豪華さを肌で感じられて幸せというか、有難いことと感じました。今後こんなすごいの見られるのだろうか。

個人的には桃山の、それも秀吉の影響があるくらいの時期のきらびやかで異国の空気もありつつの独創的な雰囲気が好き。金色の屏風絵もやっぱり良かったし、今回は螺鈿も良かった。林原美術館所蔵の縞模様に蒔絵と螺鈿を施した重箱が初めて見たデザインでとても素敵。それと、木製の椅子に螺鈿があるのも素敵。陶器は北村美術館所蔵の織部松皮菱手鉢、書は後陽成天皇のが良かった。そして岩佐又兵衛がやっぱりすごかった。大画面にたくさんの人、その生き生きした姿や表情、細かすぎる。そして楽しすぎる。全体として躍動感や活気を感じる。お茶は分からないので見た目が好きなだけなのですが、やっぱり道入のお茶碗はかっこよかった。

ポスターになっている狩野永徳の唐獅子図屏風や等伯の松林図屏風は今はまだ出てなかったので、後期に向かって混んでくるかもしれないです。でも、この2点は別で見たことがあるので今回は前期を見られて大満足。

前期11/1(日)まで
後期は11/3(火祝)~11/29(日)まで

展示を見たら桃山らへんの司馬遼太郎をまた読みたくなった。そして、意外と甲冑がおもしろかった。ちゃんと歴史背景と紐付けて展示が見られたら。。。きっと楽しいだろうな。

コロナ対策しながら鶴屋𠮷信さんの売店もやってて嬉しい。ここでつばらつばらとコーヒー頂きながら展示を振り返るのが好き。場所も量も金額もいろいろとちょうど良くていつもありがたく重宝してます。