晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

「ミリアム・ハスケル~渡辺マリコレクション」アクセサリーミュージアム

こちらのミュージアムを初めて訪問した際、ミリアムハスケルコスチュームジュエリーを初めて見てその美しさと素晴らしさに衝撃でした。本当に素敵すぎる!ということで、コレクターの渡辺マリ先生のギャラリートークに申し込み、再訪、じっくり見てまいりました。

渡辺マリ先生は元々骨董屋さんで、ミリアムハスケルコスチュームジュエリーと出会い、数十年かけて収集されているそうです。ミリアムハスケルは今も会社があるそうですが、渡辺先生はミリアム・ハスケルがデザイナーのフランク・ヘスと一緒に制作していた時期のもののみ集めていらっしゃるとのこと。全て作品は糸やワイヤーで組まれていてボンドで接着していないため、修理やリフォームも可能なこと、想いを実現するためにパーツから全て発注していること(しかもアメリカ以外の国まで探して…)、作品の色が限定されてなく(シャネルなどはパターンがあるそう)様々な綺麗なカラーで作られていることなどが特徴だそうです。他にも着けた時にその人が美しく見えるように細やかな工夫が施され、また裏面まで綺麗に作り上げているそうです。もちろん当時から大人気でシャネルとも交流があったりと華やかに成功していましたが、ミリアム・ハスケルご自身は心の病を患い、途中からは退いてフランク・ヘスが会社を支えたそうです。

というようなお話や作品それぞれのエピソードや見どころなどを楽しくお話してくださって、ギャラリートークはあっという間でした。渡辺先生のオシャレもまた素敵で、主張のあるジュエリーとお洋服、全体のコーディネートが本当に素敵。さすが美しいものを扱ってる方だなと憧れてしまいます。
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(作品の写真は図録より)

ミリアム・ハスケルの素晴らしさと共に、日本では自由にジュエリーを楽しみ個性を表現している人が少ないなと思いました。私もこちらのミュージアムに来て、館長さんやスタッフの皆様がオシャレに大振りの個性豊かなコスチュームジュエリーを身に付けているのを間近に拝見し、私も!と作ったり、購入したり少しずつ増やしています。

いろんな意味で刺激を受け、価値観が変わる展覧会でした。お教室もありなんだかんだと3週連続訪問してしまいましたが、展示替えの後期もとっても楽しみです。

「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館

仏像の展覧会へ。評判が高く、快慶とお弟子さん行快、運慶のお弟子さん定慶のほとけさまが京都の千本釈迦堂(大報恩寺)にあり、それらが揃ってやってくる貴重な機会でした。去年の運慶展が良かったので、快慶も見てみたくて。

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仏師によってお顔や表情、体つきがかなり異なることが明快でした。行快の釈迦如来のスッとした切れ長の目が快慶風でそういう顔好きと思って見ました。如来にはアクセサリー風の装飾がないと本で読んだことがありましたが、本当に布を纏っただけのお姿でなるほどと思いました。快慶の十大弟子は個性豊かに表現されていて、実存の人物が写されたよう。六観音は光背が外されて展示されていたので、後ろ姿や光背の美しさを見ることができました。仏像は時々すごく目があったように見えるほとけさまがいるので、惹かれるものがあるのかもしれないと思います。入口すぐの千手観音さまも素晴らしかったし、大作揃い。大報恩寺の当時からの力の大きさや影響力を感じました。

仏像は姿かたちも美しいですが、日本美術の根底にある仏教の思想や美術が理解できれば、いろいろ鑑賞するときにより深く味わえる気がしていて、大きいお寺や有名な仏師のほとけさまを見に行っています。少しずつ繋がり楽しめる日が楽しみです。

「マルセル・デュシャンと日本美術」東京国立博物館

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行くのを迷ったけど、結局東京国立博物館へ。

展覧会を見ることについて、すごく好きなのだけ見たい、知らないものを見たい、有名だから見ておきたい…といういろんな思いで見るのを迷うこと多々あり。

ブログもなんで書いてるのかな?と思うけど、これは私の記録なので、思ったことだけ書いておきたい。詳しい解説や見どころは詳しい人が書いてくれるだろうから。

デュシャン展へ行きました。

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大量生産された既製品にサインをして展示することで、芸術作品とは何か?と問った人という印象しかなかったので、こんな印象派みたいな絵やキュビスムの絵を描いていたのが意外でした。
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その後、芸術家として生きていくことを決めて、芸術家として生きた人。
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見ていて芸術ってなんだろう?という疑問がすごく湧きました。一点一点の解説、章ごとの説明を読んでいて、一つ一つになるほど…とは思うけど。いろいろ定義を見ていて、Wikipediaの解説が一番しっくりきました

【芸術】芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動。

この定義では、芸術とは必ずしも美しいものや技術力が高いものではないし、作用し合い変動を得られるものといったらすごく幅広いものが含まれると思いました。

デュシャンは自身の表現により人のいろんな感情や反応を感じたり、人が変化するのを見ることができたと思うけど、デュシャンはそのフィードバックから何を感じたのかな?と思います。

私は綺麗なものを見るのが好きだけど、デュシャン展はそれが目的にはなりませんでした。

時に自分と異質のものを見て違和感を感じ、でもなにか気になることを考えてみたり他人の感想を聞くことで新たな気持ちや見方を得たりすることも展覧会にいく理由でもあり、それが芸術鑑賞の目的で、そのために展覧会にも行くんだと思いました。

という意味ではデュシャン展に行けて良かったです。結局2時間くらい見ていました。おもしろかった。

「ムンク展」東京都美術館

ムンクといえば《叫び》の印象が強い。特に行く予定ではありませんでしたが…内覧会の招待券をいただき、行ってきました。でもこれが想像以上にすごく良くて、最後はファンになって帰りました。。。

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《叫び》は描かれている人物が叫んでいるのではなくて、幻聴により聞こえてくる叫びから耳をふさいでいる様子とは初めて知りました。さらになぜかモノクロで記憶していたので、色鮮やかなことにもビックリ。

家族の死に対する想いや不安など、感じていることを描き続けめっちゃ暗くて重たい時期があったりして、生きてるとそこで逃げたくなると思いますが、それでもずっと描いてるところに心を打たれました。

ムンクの残した言葉が良かったです。

【ノートより 1929年】「読書する人や編み物する女のいる室内画をもう描いてはならない。呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生き生きとした人間を描くのだ」

晩年近くの明るい光と色彩の絵が本当に良かったです。私はムンクの色彩のファンになりました。特にこの左の絵のグリーンのドレスを着た女性の背景に紫色とか、右の絵のリンゴの木の色づかいの鮮やかさがすごくすごく好き。グリーンと紫色の女性の肖像画はポストカードがなかったので、諦めきれず図録を購入。

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自分の弱さ、ネガティブもすべて受け止め、晩年まで精力的に描き続けた精神力、画家のエネルギー溢れる作品を見てパワーチャージした感じでした。

いい展覧会でした。

アクセサリーミュージアム@祐天寺

ブルックス・ブラザーズ展でチラシをいただき気になっていたアクセサリーミュージアムへ。祐天寺の住宅街にある落ち着いた佇まいの建物ですが、素敵な世界が広がっていました。

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こちらは日本唯一のコスチュームジュエリー専門の美術館とのことで、常設展はアールデコアールヌーボー、ヴィクトリアン、オートクチュールプレタポルテアヴァンギャルド。。。と時代ごとにお部屋が分かれていて、アクセサリーや装飾品、その時代のお洋服や美術品も展示されています。

どれもこれも美しくて、デザインが素晴らしく、ジュエリーの宝石の輝きとはまた別の美しさと魅力に溢れていました。

高い技術力に支えられた丁寧な仕事の品々に見入ってしまいます。そして、お洒落したい欲が刺激されます。

訪問時の企画展はコスチュームジュエリー界のトップブランド「ミリアム・ハスケル」の展示でした。コレクターの渡辺マリさんのコレクションはデザイナーのフランク・ヘスと創設者ミリアム・ハスケルの二人が制作したものにこだわられているとのことで、これまた素敵すぎるアクセサリーがたくさん展示されていました。こんなアクセサリーつけてお出かけしたら、さぞかし注目と羨望を浴びたことでしょうとうっとりしてしまいました。

ミリアム ハスケル展はまた訪問するので、改めて書きます。

ショップも併設されており、センスが良くてオシャレなデザインのアクセサリーがたくさんあります。個性も出せるし、綺麗で素敵だし、欲しいものばかり。

こちらのミュージアムは月に数回、アクセサリー教室が開催されています。興味をもって参加させていただいたところ、あまりの楽しさに翌週もお願いして参加してきました。

先生方が丁寧にご指導くださり、デザインも自由にのびのび作らせてくださいます。ネックレスと指輪を教えていただきました。
今、自分でも作りたいので、暫く通って習得したいと思ってます。
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本当に楽しいミュージアムです。

 

「小倉遊亀展」平塚市美術館

先週末は小倉遊亀さんの展覧会を見に平塚へ。

平塚市美術館、初めて伺いました。広々として天井が高く気持ちいい空間でした。
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小倉遊亀さんは滋賀県大津市のご出身で、安田靫彦さんに師事し日本画家として歩まれ、たくさんの作品を描き、晩年まで身近な人物や、お花や果物を描き続け105歳まで生きられました。

私は小倉遊亀さんの作品を見るとキリッとした空気や清潔感というか清々しい印象をいつも受けるので、そういう雰囲気がとても好きです。

身近な家族や友人知人など人物を描かれる作品にはあたたかい眼差しを、愛用の器や野菜や果物、お花がモデルでも愛しさを感じていらっしゃったんだろうなと思えます。

観音さまや物語の挿し絵を描くとき、初めて見る風景を描くときなど、心も準備も整えて望まれてたんだとキャプションを拝見しながら、描きながらご自身と向かい合う厳しさも感じました。

マティス展で刺激を受けたり、自画像を描いてみたり、好奇心旺盛でチャレンジし続ける姿勢など、精神の安定も感じました。

長い人生でお仕事や画業、ご家族のことなど、幸せなだけでなくご苦労も多かったことと思いますが、作品からは幸福感がすごく感じられるのは、遊亀さんが精神的にも自立されて人生を受け止めて生きていたからだと思います。

作品に登場する愛用の器たちが展示されていましたが、とても趣味が良かったです。仕事場の写真も整然と片付いており、きちんとした方だったんだと感じました。

絵も素晴らしいですが、そこに品格ある遊亀さんを感じるから魅了されるのかなと改めて思いました。

 

平塚八幡宮で寄り道して遊んでる間に図録が売り切れてしまって、ポストカード買いました。
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犬は愛情を表現しているそうです。
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私は20代のときに滋賀県立近代美術館へよく通っていたのですが、たくさんの懐かしい作品が滋賀県からやってきていて感激しました。

この「うす霜」は当時から大好きな作品。梅の枝は天へ向かって伸びることを知り、新芽と青空に希望を感じて好きです。立ち止まってしばらく眺めてました。
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「花屑」も好きです。再び見て、初めてサッシが描かれているのに気づきました。
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どの作品もそれぞれに素晴らしかった。
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20代で見るより今見る方が心に響きました。

また数十年後に再会したとき、私はなにを感じるのかな。

 

せっかくの平塚なので、帰りは足を伸ばして海岸まで。綺麗な景色も見られて心がリフレッシュした1日でした。

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「京都醍醐寺展」サントリー美術館と「民藝 Another Kind of Art」21_21DESIGN SIGHT

見に行くか迷いながら、結局最終日になり向かった展覧会。サントリー美術館「京都醍醐寺展」へ。
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こちらのポスターを見て、この仏さまにお会いしたいと思いました。会場入ってすぐにいらっしゃいましたが、想像していたよりも小さく、そして美しかったです。もうそれだけで伺ったかいがありました。

真言密教の大寺院である醍醐寺の長い歴史と繁栄の様子を展覧会からうかがえました。

他には快慶作の不動明王さまの上品な美しさが印象的でした。

醍醐寺の有名なあの大きい枝下桜を見たいので、いつかゆっくり訪れたいな。

空海のすごさを知りたいので、取り急ぎまずは司馬遼太郎空海の風景」を読み始めました。
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いつもなにかを見てから興味をもって知識を後追いで入れていく感じですが、それもまた楽しいものです。(今回は小説なので知識ではないですが)

 

帰りに21_21DESIGN SIGHTの「民藝 Another Kind of Art」を見に行きました。
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こちらはあんまり私には響かず。。。私は民藝館で見るのが好きです。展示方法が違うと見え方が全く違って、若い人も多く、民藝館とはまた違う意味があるのだろうと思いました。それはなんだろう。。。?消化不良でした。

柳宗悦の心偈「打テヤ モロ手ヲ」があり、いい言葉だなと思い、両手を打ってよろこぶ感性をちゃんと持ってようと思いました。