晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

「京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館

仏像の展覧会へ。評判が高く、快慶とお弟子さん行快、運慶のお弟子さん定慶のほとけさまが京都の千本釈迦堂(大報恩寺)にあり、それらが揃ってやってくる貴重な機会でした。去年の運慶展が良かったので、快慶も見てみたくて。

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仏師によってお顔や表情、体つきがかなり異なることが明快でした。行快の釈迦如来のスッとした切れ長の目が快慶風でそういう顔好きと思って見ました。如来にはアクセサリー風の装飾がないと本で読んだことがありましたが、本当に布を纏っただけのお姿でなるほどと思いました。快慶の十大弟子は個性豊かに表現されていて、実存の人物が写されたよう。六観音は光背が外されて展示されていたので、後ろ姿や光背の美しさを見ることができました。仏像は時々すごく目があったように見えるほとけさまがいるので、惹かれるものがあるのかもしれないと思います。入口すぐの千手観音さまも素晴らしかったし、大作揃い。大報恩寺の当時からの力の大きさや影響力を感じました。

仏像は姿かたちも美しいですが、日本美術の根底にある仏教の思想や美術が理解できれば、いろいろ鑑賞するときにより深く味わえる気がしていて、大きいお寺や有名な仏師のほとけさまを見に行っています。少しずつ繋がり楽しめる日が楽しみです。

「マルセル・デュシャンと日本美術」東京国立博物館

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行くのを迷ったけど、結局東京国立博物館へ。

展覧会を見ることについて、すごく好きなのだけ見たい、知らないものを見たい、有名だから見ておきたい…といういろんな思いで見るのを迷うこと多々あり。

ブログもなんで書いてるのかな?と思うけど、これは私の記録なので、思ったことだけ書いておきたい。詳しい解説や見どころは詳しい人が書いてくれるだろうから。

デュシャン展へ行きました。

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大量生産された既製品にサインをして展示することで、芸術作品とは何か?と問った人という印象しかなかったので、こんな印象派みたいな絵やキュビスムの絵を描いていたのが意外でした。
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その後、芸術家として生きていくことを決めて、芸術家として生きた人。
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見ていて芸術ってなんだろう?という疑問がすごく湧きました。一点一点の解説、章ごとの説明を読んでいて、一つ一つになるほど…とは思うけど。いろいろ定義を見ていて、Wikipediaの解説が一番しっくりきました

【芸術】芸術とは、表現者あるいは表現物と、鑑賞者が相互に作用し合うことなどで、精神的・感覚的な変動を得ようとする活動。

この定義では、芸術とは必ずしも美しいものや技術力が高いものではないし、作用し合い変動を得られるものといったらすごく幅広いものが含まれると思いました。

デュシャンは自身の表現により人のいろんな感情や反応を感じたり、人が変化するのを見ることができたと思うけど、デュシャンはそのフィードバックから何を感じたのかな?と思います。

私は綺麗なものを見るのが好きだけど、デュシャン展はそれが目的にはなりませんでした。

時に自分と異質のものを見て違和感を感じ、でもなにか気になることを考えてみたり他人の感想を聞くことで新たな気持ちや見方を得たりすることも展覧会にいく理由でもあり、それが芸術鑑賞の目的で、そのために展覧会にも行くんだと思いました。

という意味ではデュシャン展に行けて良かったです。結局2時間くらい見ていました。おもしろかった。

「ムンク展」東京都美術館

ムンクといえば《叫び》の印象が強い。特に行く予定ではありませんでしたが…内覧会の招待券をいただき、行ってきました。でもこれが想像以上にすごく良くて、最後はファンになって帰りました。。。

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《叫び》は描かれている人物が叫んでいるのではなくて、幻聴により聞こえてくる叫びから耳をふさいでいる様子とは初めて知りました。さらになぜかモノクロで記憶していたので、色鮮やかなことにもビックリ。

家族の死に対する想いや不安など、感じていることを描き続けめっちゃ暗くて重たい時期があったりして、生きてるとそこで逃げたくなると思いますが、それでもずっと描いてるところに心を打たれました。

ムンクの残した言葉が良かったです。

【ノートより 1929年】「読書する人や編み物する女のいる室内画をもう描いてはならない。呼吸し、感じ、苦悩し、愛する、生き生きとした人間を描くのだ」

晩年近くの明るい光と色彩の絵が本当に良かったです。私はムンクの色彩のファンになりました。特にこの左の絵のグリーンのドレスを着た女性の背景に紫色とか、右の絵のリンゴの木の色づかいの鮮やかさがすごくすごく好き。グリーンと紫色の女性の肖像画はポストカードがなかったので、諦めきれず図録を購入。

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自分の弱さ、ネガティブもすべて受け止め、晩年まで精力的に描き続けた精神力、画家のエネルギー溢れる作品を見てパワーチャージした感じでした。

いい展覧会でした。

アクセサリーミュージアム@祐天寺

ブルックス・ブラザーズ展でチラシをいただき気になっていたアクセサリーミュージアムへ。祐天寺の住宅街にある落ち着いた佇まいの建物ですが、素敵な世界が広がっていました。

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こちらは日本唯一のコスチュームジュエリー専門の美術館とのことで、常設展はアールデコアールヌーボー、ヴィクトリアン、オートクチュールプレタポルテアヴァンギャルド。。。と時代ごとにお部屋が分かれていて、アクセサリーや装飾品、その時代のお洋服や美術品も展示されています。

どれもこれも美しくて、デザインが素晴らしく、ジュエリーの宝石の輝きとはまた別の美しさと魅力に溢れていました。

高い技術力に支えられた丁寧な仕事の品々に見入ってしまいます。そして、お洒落したい欲が刺激されます。

訪問時の企画展はコスチュームジュエリー界のトップブランド「ミリアム・ハスケル」の展示でした。コレクターの渡辺マリさんのコレクションはデザイナーのフランク・ヘスと創設者ミリアム・ハスケルの二人が制作したものにこだわられているとのことで、これまた素敵すぎるアクセサリーがたくさん展示されていました。こんなアクセサリーつけてお出かけしたら、さぞかし注目と羨望を浴びたことでしょうとうっとりしてしまいました。

ミリアム ハスケル展はまた訪問するので、改めて書きます。

ショップも併設されており、センスが良くてオシャレなデザインのアクセサリーがたくさんあります。個性も出せるし、綺麗で素敵だし、欲しいものばかり。

こちらのミュージアムは月に数回、アクセサリー教室が開催されています。興味をもって参加させていただいたところ、あまりの楽しさに翌週もお願いして参加してきました。

先生方が丁寧にご指導くださり、デザインも自由にのびのび作らせてくださいます。ネックレスと指輪を教えていただきました。
今、自分でも作りたいので、暫く通って習得したいと思ってます。
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本当に楽しいミュージアムです。

 

「小倉遊亀展」平塚市美術館

先週末は小倉遊亀さんの展覧会を見に平塚へ。

平塚市美術館、初めて伺いました。広々として天井が高く気持ちいい空間でした。
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小倉遊亀さんは滋賀県大津市のご出身で、安田靫彦さんに師事し日本画家として歩まれ、たくさんの作品を描き、晩年まで身近な人物や、お花や果物を描き続け105歳まで生きられました。

私は小倉遊亀さんの作品を見るとキリッとした空気や清潔感というか清々しい印象をいつも受けるので、そういう雰囲気がとても好きです。

身近な家族や友人知人など人物を描かれる作品にはあたたかい眼差しを、愛用の器や野菜や果物、お花がモデルでも愛しさを感じていらっしゃったんだろうなと思えます。

観音さまや物語の挿し絵を描くとき、初めて見る風景を描くときなど、心も準備も整えて望まれてたんだとキャプションを拝見しながら、描きながらご自身と向かい合う厳しさも感じました。

マティス展で刺激を受けたり、自画像を描いてみたり、好奇心旺盛でチャレンジし続ける姿勢など、精神の安定も感じました。

長い人生でお仕事や画業、ご家族のことなど、幸せなだけでなくご苦労も多かったことと思いますが、作品からは幸福感がすごく感じられるのは、遊亀さんが精神的にも自立されて人生を受け止めて生きていたからだと思います。

作品に登場する愛用の器たちが展示されていましたが、とても趣味が良かったです。仕事場の写真も整然と片付いており、きちんとした方だったんだと感じました。

絵も素晴らしいですが、そこに品格ある遊亀さんを感じるから魅了されるのかなと改めて思いました。

 

平塚八幡宮で寄り道して遊んでる間に図録が売り切れてしまって、ポストカード買いました。
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犬は愛情を表現しているそうです。
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私は20代のときに滋賀県立近代美術館へよく通っていたのですが、たくさんの懐かしい作品が滋賀県からやってきていて感激しました。

この「うす霜」は当時から大好きな作品。梅の枝は天へ向かって伸びることを知り、新芽と青空に希望を感じて好きです。立ち止まってしばらく眺めてました。
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「花屑」も好きです。再び見て、初めてサッシが描かれているのに気づきました。
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どの作品もそれぞれに素晴らしかった。
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20代で見るより今見る方が心に響きました。

また数十年後に再会したとき、私はなにを感じるのかな。

 

せっかくの平塚なので、帰りは足を伸ばして海岸まで。綺麗な景色も見られて心がリフレッシュした1日でした。

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「京都醍醐寺展」サントリー美術館と「民藝 Another Kind of Art」21_21DESIGN SIGHT

見に行くか迷いながら、結局最終日になり向かった展覧会。サントリー美術館「京都醍醐寺展」へ。
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こちらのポスターを見て、この仏さまにお会いしたいと思いました。会場入ってすぐにいらっしゃいましたが、想像していたよりも小さく、そして美しかったです。もうそれだけで伺ったかいがありました。

真言密教の大寺院である醍醐寺の長い歴史と繁栄の様子を展覧会からうかがえました。

他には快慶作の不動明王さまの上品な美しさが印象的でした。

醍醐寺の有名なあの大きい枝下桜を見たいので、いつかゆっくり訪れたいな。

空海のすごさを知りたいので、取り急ぎまずは司馬遼太郎空海の風景」を読み始めました。
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いつもなにかを見てから興味をもって知識を後追いで入れていく感じですが、それもまた楽しいものです。(今回は小説なので知識ではないですが)

 

帰りに21_21DESIGN SIGHTの「民藝 Another Kind of Art」を見に行きました。
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こちらはあんまり私には響かず。。。私は民藝館で見るのが好きです。展示方法が違うと見え方が全く違って、若い人も多く、民藝館とはまた違う意味があるのだろうと思いました。それはなんだろう。。。?消化不良でした。

柳宗悦の心偈「打テヤ モロ手ヲ」があり、いい言葉だなと思い、両手を打ってよろこぶ感性をちゃんと持ってようと思いました。

「ブルックス・ブラザーズ展」文化学園服飾博物館

ブルックス ブラザーズ展」

アメリカンスタイルの200年、革新の2世紀―

いただいたチラシがかっこよかったので、文化へ見に行ってきました。
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入口に金色のひつじがいっぱい!
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ブルックス ブラザーズは1818年4月7日にお洒落なアメリカ人、ヘンリー・サンズ・ブルックスが創業したブランドで、今年で200年!
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ゴールデンフリースは品質の高さを表していて、ブルックスブラザーズの店頭に掲げられ、1915年に商標登録。ひつじがいっぱい出てくるのはそういう意味だったんですね。
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1849年にはアメリカで初めての既製服を発売、その後もボタンダウンのシャツやNo.1サックスーツなど革新的なアイディアを次々と生み出し、クラシックスタイルの基本を築きました。(チラシより)

 

壁一面の白いボタンダウン

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この右下のいろんな生地を使ったシャツは、最初は限定販売で工場の残った端切れで作られた1枚しかないシャツだったそうです。
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乗馬やテニスやスキーなど、スポーツウェアも
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アンディ・ウォーホルが着てるのも、ブルックスブラザーズ。
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ネクタイや制服もブルックスブラザーズが先駆け的な存在に。

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男子のファー、かっこいい!
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『華麗なるギャッツビー』の衣装。
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個人的にはこのジャケットが一番好きです。ラペルのトリミングの角の部分が額縁仕様でパッチポケットが中縫いという縫製の美しさに感動しました。
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生産現場の写真
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ボーイズ。可愛らしい。
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水着
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スーツいろいろとトランク。洗練されてる。
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ヘッドホンしてファッション関係者のインタビューの動画が見られるコーナーもありました。私はセレクトショップの方やファッション誌の編集長、あと、千住博さんのを聞きました。

古着屋さんでブルックスブラザーズを探したお話、初めてお店で買い物したお話、お父様のタンスからシャツを借用してたお話など、ブルックスブラザーズの存在感を感じるエピソードばかり。

千住さんのアメリカ大使館に作品が展示されたことから、大使にお会いするときにはブルックスブラザーズを着用するというエピソードをお話されていて、国を代表する程のブランドで、リスペクトの気持ちを洋服で表現できるって素敵。

http://www.brooksbrothers.co.jp/200th/stories/detail-01.html?isSp=1


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明治の外交官、小村寿太郎さんも着用。講和会議に挑むために現地でフロックコートを買い求めたそうです。
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米軍の制服もブルックスブラザーズが製作。

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歴代米国大統領45人のうち40人が着用しているブルックスブラザーズ。
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リンカーン大統領のコートの裏地のキルトもすごい。
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レディースを求める声にも応えてボーイフレンドライン誕生。
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ファッション界へ広く影響を与えているとのことで、下記の他ブランドも少し展示。
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帰りに受付でアメトラ特集のpenを買ったら、ゴールデンフリースの紙袋にいれてくれて盛り上がりました!
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既製服の歴史は、ほぼブルックスブラザーズの歴史と重なっていて、多くの方々に時代を超えて愛されている魅力を知ることができました。500円でなんと盛り沢山な内容。変わらないことがいいとインタビューでお話されている方もいらっしゃって、変わらないでいられる存在感がすごいです。

メンズの洋服は夢があっていいですね。憧れるけど、男性みたいに着こなせないのが残念で、羨ましい世界です。

とてもいい展覧会でした。