晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

「フェルメール展」上野の森美術館

フェルメール展。私の私的な思い出のために見に行きました。
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20代の頃、今から15年近く前に知り合ったお兄さんがフェルメールが大好きでした。彼はアンティークの美しいものを扱う仕事をしていて、ツイードの三つ揃いを着こなし、フェルメールの分厚い本を見せてくれました。当時30代だったのではないかと思いますが、男性で美しいものが好きな人に初めて出会いました。

男性でクリエイティブな方々周りに多い環境にいたけど、際立って個性的で独自の世界があって。。。

2回しかお会いしてないけど、フェルメール知名度が上がり話題になる度に彼のことを思い出します。

私自身はフェルメールにはあまり関心もないけど、また会える日があるかもしれないから見に行きました。綺麗な絵でした。思ってたよりもずっと小さかったです。

ポストカードを買ったので、お手紙を書こうと思います。

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「カタストロフと美術のちから展」

カタストロフとはフランス語で「大惨事」だそうです。実はそれを知ってから、見たくなりました。それまで人名だと思ってたので…。不謹慎なようですが、今年も平成の間も災害が多かったので、アーティストたちはどう反応したのか気になりました。年内に見ておきたかったです。
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前半は大惨事と向き合うような、記録的な作品や風化しないようにとの思いを感じるもの、そして見えない大惨事を表出するような作品でした。自然災害や人為的な災害以外にも、精神や心、社会現象の歪みや痛みだったり…現代のこともあれば過去のこともありました。自分に重なることはやはり重たく感じます。

後半は、そんな大惨事からどう前を向いていくのかという行動と表現でした。
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自然災害などでは衣食住やライフラインをサポートする専門家や有志の方々がいらっしゃいますが、アーティストも心のケア、意欲の復活、楽しみや喜びを思い出してもらったり、コミュニティの団結など、幅広い場面で活躍されていました。また、自分自身の内なる惨事を癒すような作品もありました。
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↓この「つくることは…」がすごく心に響きました。

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武器を集めて鐘をつくる試み。

歴史では鐘を提供させて武器を作っていた、その逆の発想。こういう分かりやすい形で平和に向かえばいいのにって思う。
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こちらを見て、インナーチャイルドの癒しを思い出さずにいられなかった。
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最後の方で池田学さんの《誕生》がありました。画面下方に津波や瓦礫が描かれていますが、そこから木が生え花を咲かせ。。。壮大な作品。完成まで3年以上を費やし、小さく細かい線で細部にまでいろんなものが描かれ、それらは象徴だったり記録だったりしています。日々少しずつの前進が大きな結果になるのはもちろんですが、その1日1日にもドラマみたいなことが起こったりしていることを改めて感じ、感動しました。昨年初めて見たときから好きな絵です。
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じっくり見ようと思ったら何時間でもいられそうな充実の展示でした。海外の方も多くいらっしゃっていました。いい展覧会でした。

好きなものが変わる時

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この1ヶ月くらいの間で、自分が好きなものが全く変化してしまったように感じる。

変化っていうか「思い出した」とか、「本当はそうだった」のかもしれないし、自分への認識が追いついたのかもしれない。 

展覧会でいえば、私は20歳くらいの時に倉敷民藝館や柳宗悦に感動してから民藝や工芸品、染織や焼き物を見ることが好きだった。どちらかといえば日本美術に興味があり、古い町並みや自社仏閣や庭園が近くにある暮らしへの憧れから京都に移住してた時期もあったし、その間某関西地区の美術館でボランティアをさせていただいた期間もあり現代美術の面白さを垣間見たので、理解が難しいと思いながら現代アートも見るようにしてた。そして一番縁遠かった西洋美術には苦手意識があった。

でも1ヶ月程前に招待券をいただきムンク展へ行き、文化のブルックスブラザーズ展でチラシもらってオシャレだなぁとアクセサリーミュージアムへ行き、せっかくだしアクセサリー作ってみたい!と教室も参加し、ある日は会社帰りに間に合ってフィリップスコレクションへ行き、アクセサリーミュージアムで見たからアールデコつながりで庭園美術館へ行って、アクセサリーの歴史に出てきた神話つながりでルーベンス展へ。。。などとやってるうちに、いや、西洋美術っておもしろいのでは?と思ってきて楽しい世界がどんどんひろがり、今やいろいろ本も読んだり勉強中です。次はフェルメールとかロマンチックロシアに行きたいなーとか考え中。

でも、そうやって興味のままに行動できるのは、その前に捨ててきたことがあって、ゆとりと余白ができたから。

年初にいろいろ我慢や無理をしながら続けた前職(不動産業)を退職し、転職してから時間的精神的にすごく楽になったのが一番大きく、宅建やら賃貸不動産管理士の資格取得、保険の募集人、FPなどの勉強や更新、仕事に関わるお金回りや社会問題などの情報のインプットなどをやらないでよくなり、しかもそれが本当に苦痛だったので休みも休んだ気がせず気分もいつもイライラしてました。が、それも今はなし!他に個人的に勉強してた資格試験の準備も費やしたお金と時間がもったいないと思ったけどすべて放棄し、人間関係も無理は止めて、義務的にやってたことや人からの評価を気にするのを止めて…Twitterもツイートや写真を無断使用されていたためアカウントを作り直し…など一つ一つ止めてきました。

今やっと、世間一般から見てこうしておいたらいいんじゃないかな?と私の考えでもなく、そして周りの大切な人たちが期待してる姿でもない、私が考えた常識的な私になろうと空回りしてた気がします。誰のためにか知らないけど。

そういう無理は止めた時、なんにもなくなっちゃうんじゃないか?と思いましたが、結局は大切なことしか残らず、失ったものはほとんどなくて、それで大丈夫みたいなので、年末の今、全て良しという気持ちです。むしろ、今の方が何倍も良い!

何度か大変なことやしんどいこともあったけど、支えになるのは好きなことや夢中になれること。楽しむために生きているので、そちらに目を向けいい未来を描いて、それを見て、そして動くことが人生を作るんだなと実感しました。自分を大切にして、大事な人たちといい関係を作っていきたいです。

 

好きなものが変わることは、自分に素直になれてきた証しかなと思います。これから自分がどこに向かっていくのか、自分でも楽しみ。

東急国立博物館・東洋館「常設展」

初めて入った東博の東洋館。

素晴らしく美しいものばかり!

アジア、中近東、アフリカなどなど…日本と欧米以外の土地の豊かな文化の良い品々がところ狭しとありました。

朝鮮の高麗青磁

この形、この色…美しかった。
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高麗白磁のコーナーも素敵。
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高麗土器。初めて見ました。
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勾玉や金でできた装身具もオシャレ。

今でもつけたいデザイン。
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中国の焼き物。

色絵もたくさんありましたが、無地が好き。
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唐三彩も見事でしたが派手に感じました。

こちらの人形(上)は三彩の美しさがちょうどよく綺麗。

下の楽器を演奏している人形も優雅。
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パキスタンの石仏はとても美しく、イケメン揃い。
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本当は斉白石を目当てに行きましたが、あまり私には響かず。。。

鳥の表情がすごく良かったです。

たくさん人が来ていて、人気ぶりがうかがえました。

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訪れた日は東博無料観覧日でした。

年に数回あるようです。
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正門前のラウンジでホテルオークラのパンが4種ほど売られていて、一休みできることが分かりました。

パン美味しかった。これはショコラデニッシュです。

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上野公園はレストランも並んでいたりしてさっと食事をして巡るのが難しいと感じていたので助かります。


西洋美術館も東博も、常設展もまた素晴らしいと再認識した日になりました。

また来てみよっと。

「ルーベンス展」国立西洋美術館

最近すごく綺麗なものを見たくて、今までなら絶対に選択しないような西洋絵画を見に行きました。

国立西洋美術館ルーベンス展」
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綺麗な絵でした。
ルーベンスは芸術家で人文主義者、そして外交官であり、正真正銘のルネサンス人と、冒頭で紹介がありました。

ルーベンスに作品を注文した人は、ルーベンスと教養を共有していたから画面に書き込まれる象徴の意味を理解することができたとか。注文主と同じくらいの教養があり(さすが外交官!)、それを描ける画力と最新の技術ががあるとは別格の画家だったんだろうな…。

ルーベンス工房の効率的な製作システムは例を見ないもので、それが機能したからこそ大量の注文を見事にさばくことができたとも解説があり、またお弟子さんもたくさん育ったらしいので、やり手なビジネスマンであり経営者でもあったんだろうなと思いました。多才な人。

でもエピソードから、歴史的絵画や他の画家の作品を学んだり、古代彫刻から古代人の肉体を学んだりと、研究熱心な人だったことも分かりました。
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こちらの本で事前にギリシア神話を少し勉強したので、ヘラクレスとか少し分かることが増えてて嬉しかったです。でもまだ意味まで取れないし、イエスキリスト教のことも知ってたらもっと楽しめそうだと思ったので、ギリシア神話を深めつつ、次は簡単な聖書の話を読んでみます。(美術館で購入済み)

絵に描かれた象徴を理解できる教養が求められた時代だったんだと身をもって知った展覧会でした。


併せて常設展も見てきました。

部屋の作りに見覚えがあるので、おそらく一度入ったことがあると思います。20年くらい前のバーンズ・コレクション展と昨年のクラーナハ展でしか来たことがないので、20年以上、久しぶりだと思います。


2階の大半は知らない作品で、ドラクロアが出てきたあたりから知ってる名前が増えて、印象派ナビ派。。。と続いて近代へ。まだまだ知らないことばかりの西洋美術。一つ一つ学んでいきます。


こちらが私がいいなと思った作品。

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1枚目の彫刻はヴィーナスの優しい表情が好き。最後が藤田嗣治だということ以外はどなたの作品かは忘れてしまいました。


綺麗だな、いいなぁの一歩奥に踏み込むために基礎知識つけていこうと思います。もっと楽しむために。

「エキゾチック×モダン アール・デコと異境への眼差し 」東京都庭園美術館

東京都庭園美術館へ久しぶりに行って来ました。先週、伊勢丹コスチュームジュエリーの世界展にてアクセサリーミュージアムの田中館長のギャラリートークをお聞きして、アールデコに興味が湧いてきたのでとても楽しみに。

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クリスマス目前の暖かい雨の日ですが、終わりかけの紅葉がとても綺麗でした。
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濃い黄色~淡いオレンジというような柔らかで優しく綺麗な紅葉の色が、雨で一段と美しく見えました。ドウダンツツジがこんなにも綺麗だったとは。
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庭園美術館の美しい建物、旧朝香宮邸は外観も格好良いですが、内装の細部までがとても素敵。壁紙も床のタイルも照明もカーテンも…なにもかも上品で美しく、背筋の伸びる雰囲気でした。ルネ・ラリックのガラスの装飾がとっても美しくて見惚れました。

 

展示はフランスのアール・デコの時代に非ヨーロッパ圏の文化や芸術が大きな影響を与えたことに着目し、異文化の影響を受けたドレスやジュエリー、工芸品や家具、絵画、彫刻などが優雅な旧朝香宮邸やモダンな新館の雰囲気に調和していました。

ポール・ポワレのエキゾチックなドレスが素晴らしく、凝った刺繍が施されている様子も間近で見られて感激。日本人から漆を学んだ工芸家の作品もモダンで素敵でした。ヨーロッパの漆の作品は日本やアジアで見ていた作品と雰囲気が異なり、漆への見方が変わりました。ツタンカーメン王墓の発見にちなみヴァンクリーフ&アーペルがエジプトを意識したジュエリーを作成していて、話題を取り入れた宝飾品は魅力的だったことと思いました。

人気黒人ダンサーをモデルにした作品もオシャレでカッコイイと思いましたが、人種差別と向き合う背景があったことも察しられました。

また、植民地を題材にした作品も多くあり、植民地の文化や風習などが伺える作品の他、植民地からもたらされたエキゾチックな動物を動物園に通って観察して製作した動物彫刻もあり、アールデコ期は見聞が世界レベルまで広がり、その体験が美術工芸やモードの世界へ展開された時期でもあったことが分かりました。

見応えがあって面白かったです。

ますますアールデコ期に興味が出てました。

新館のカフェも居心地良く、お庭が見えて鑑賞後にゆっくりと癒されました。

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帰りに少しだけ庭園を回りました。白い椿が美しかったです。
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クリスマスの喧騒や年末の慌ただしさを忘れる時間になりました。

伊勢丹新宿「コスチュームジュエリーの世界」

新宿伊勢丹コスチュームジュエリーの世界」を見に行きました。

ジュエリーショップが複数出展しお買い物もできますが、会場内に祐天寺のアクセサリーミュージアムから小さなミュージアムがやってきています。

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今日は田中館長のギャラリートークを聴きに来ました。時代を追って特徴や流行を歴史や時代の雰囲気などを織り混ぜて、とても楽しく語っていただき、楽しみました。

 

少しだけ写真撮らせていただきました。

ヴィクトリアン時代の天然シードパール。1ミリくらいのパールの色を揃え、穴を開けて馬の毛を糸に見立てカットした貝にくくりつけてます。繊細すぎる。。。

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こちらは腰に下げていたそうです。指ぬき入れやハサミがついていて縫い物に備えてるところに親しみを感じました。
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魚鱗箔パール。パールに見えるように魚のウロコを原料に編み出された技法で作られたパール。真珠は御木本さんが養殖パールを作るまではとっても高価だったそうです。

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ガラスを流し込んで作る技術で作られたネックレス。
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ハリウッド映画の撮影で強いライトが当たるとゴールドに見える素材。本物の金では白く写ってしまうため工夫したそうです。
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スキャパレリ
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ディオール
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シャネル
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ミリアム・ハスケル
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ファッションとジュエリーのコーディネートも見られました。

ヴィクトリアンから始まり、ヒッピーやバブル期のキャリアウーマンまで。
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限られた点数でしたがとても分かりやすく勉強になりました。

途中で会場内でオペラのミニライブもあり、メゾソプラノ歌手の相羽薫さんの美しい歌声も聴かせていただきました。美人で細くて華奢な外見から大変ボリュームある綺麗な歌声でびっくり。素晴らしかったです。
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ジュエリーもドレスもお似合いでお綺麗でした。
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その後会場内のショップを見て回ってから、また田中館長のハンドリングセミナーへ。館長と参加者の皆さんとテーブルを囲み、普段はショーケースの中にあるコスチュームジュエリーを実際に触らせていただいたり、ルーペで繊細な技法を見たり、館長から装飾の技法や見分け方、使い方、特徴やエピソードをお聞かせいただいて、こちらもとても楽しかったです。コスチュームジュエリーおもしろい!

 

帰りに紀伊国屋ギリシア神話のマンガと服飾史の本を買って帰りました。カメオとか神話に出てくる神様がモチーフになってることも多いようなので、西洋美術にも共通するし、知りたい!と思って。服飾史も学生時代に寝てないでちゃんと勉強しておけば良かったなぁ。それらと併せて、読んでない本棚にある世界史の本も寒い冬の間に読んでおきたいです。いろいろ繋がっていくのがおもしろいです。ワクワクする世界です。