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晶の東京日記

本とか美術のこと。東京にいる間は東京を楽しみたい。

大原美術館の2つの絵―江國香織さん『日のあたる白い壁』

読書録

先日、国立新美術館で展示中の大原美術館のコレクションを見て

国立新美術館『はじまり、美の饗宴展―すばらしき大原美術館コレクション』 - 本と共に暮らす晶の日々

 

江國香織さんのこちらの本を改めて読みました。

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日のあたる白い壁 (集英社文庫)

日のあたる白い壁 (集英社文庫)

 

作家の江國香織さんが23点の絵について書かれています。

ゴッホセザンヌユトリロ、ボナール、オキーフ・・・・

小倉遊亀さんの作品も!

たくさんの絵を今までご覧になって、文献も読まれて、想いをはせて、

江國さん の感性で書きつづられたこちらの本は、

作家の個性や描かれた背景が想像できるような、身近で親しみ深くなるような

そんな素敵な本です。

それぞれの作家の代表作とはまた異なった表情の作品が取り上げられていたりして、

読むとますますその作家のことを知りたくなるし、他の作品も見たくなります。

 

こちらに、大原美術館のコレクションが2点紹介されています。

まず、表紙は児島虎次郎さんの「睡れる幼きモデル」。

(上の写真です)

幼い女の子の表情、ドレス、室内の調度品それぞれの質感や色合いが

懐かしさを感じるあたたかい作品。

こちらの絵が描かれたのは大原美術館のコレクションの第1号である「髪」

を書かれたアマン・ジャンに初めて会い、その作品を購入した1912年に

描かれた作品とのことです。

 

もう一つは、カリエールの「想い」

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(本から撮影しました。)

カリエールはフランスの画家で、他の作品にも共通するのですが、

対象の周りが靄がかかったように背景と一体化しているような作品が多いようです。

ロダンと親交が深かったとか。

作家については多くを知りませんが、描かれた女性の物憂げな表情、

見方によっては幸せそうにも、なにかを考えているようにも見えるようなこの表情と

ポーズに惹かれるものがあります。

 

江國さんは「波長の合う絵」とも「心の中に飼ってしまう」とも表現しています。

このたとえが、また絵の魅力を深いものにしているように感じます。

 

他の作品についても、感性豊かな江國さんの絶妙な表現でつづられています。

数年前に読んだはずなのに、今読むととっても新鮮。

気になる絵を見るために旅に出たり、作品集をめくりたくなる

幸福感のあふれる本でした。