晶の東京日記

本とか美術のこと。東京にいる間は東京を楽しみたい。

国立新美術館『はじまり、美の饗宴展―すばらしき大原美術館コレクション』

乃木坂(六本木)の国立新美術館に、倉敷大原美術館のコレクションが

やってきました。

さっそく見に行ってきました。

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hajimari2016.jp

大原美術館倉敷の実業家・大原孫三郎さんが1930年に、

西洋美術を紹介するための日本で初めての本格的な美術館を創設しました。

孫三郎さんは倉敷紡績倉敷絹織などの繊維業の本業以外にも、

電力、金融、新聞などの諸事業にも手を広げ、病院や研究所の設立など、

社会貢献や社会福祉にも尽力されたと言われています。

 

芸術家への支援もされており、

画家の児島虎次郎さんのヨーロッパ留学を支援し、

また、児島さんが海外の芸術を日本に持ち帰り、

日本の人々に見せたいという願いに共感し、金銭的な支援をし続けました。

そのお二人の収集した作品が大原美術館のコレクションの始まりです。

アマン=ジャンの「髪」という作品が第1号で、今回の展覧会でも見られます。

 

孫三郎さんは民藝運動の創始者である柳宗悦さんのことも支援し、

日本民藝館大原美術館の工芸館の創設にも力添えされました。

大原美術館には民藝作家の作品も多くあり、浜田庄司河井寛次郎、富本憲吉、

棟方志功、バーナードリーチ、芹沢けい介らの作品を個性に合わせた空間を

わざわざ作って展示されています。

元々は大原家の米蔵で、芹沢けい介さんによって改装されたとのこと。

こだわりが伝わってきます。

 

孫三郎さんの後を継いだ総一郎さんの代で、近現代の作品や日本人作家の

作品の収集も増えて、別館に多く展示されています。

総一郎さんは受け継がれた事業を大きく発展させ、日本の繊維業界にも

大きく尽力されています。(今のクラレです。)

お仕事と美術館で精力的な活動をされる傍ら、音楽や美術を愛し、

ご家族を大切にされていたとのこと。素敵です。

 

児島虎次郎さんの作品と彼が個人的に蒐集してた古代中国の美術品、

また、イランやエジプトなど古代オリエントの美術品は

アイビースクエアの中にある趣のある煉瓦の建物(倉敷紡績の元倉庫)

に展示されています。

 

という話を、

21歳で1人で倉敷に行った私は、シルバーガイドのおじいさんから聞きました。

その時、大原美術館にかかわった方々の夢の詰まった想い、

それを支える決断や行動、そして事業も芸術もそれぞれ真摯に取り組み

結果を出していくエネルギーと行動力、意志の強さなど。。。

人として、本当にかっこいいと思いました。

 

そして、そうして全力で集められてきた大原美術館の作品を見ていると、

古代から現代までの作品について、時代もジャンルも、国や人種の違いも

全てを含んで芸術は存在し、今をつくり、それが過去にもなっていくと

素直に感じることができます。

 

「この時代のこんな絵が好き」とかっていう好みもあるかもしれませんが、

「この時代にこういう人がいた。こういう表現をした。」ということが

今現在へ連なっているということに思いを馳せ、そこから気づきを得たり、

想像が膨らんでゆくことが、美術を味わう魅力の一つであると思います。

 

大原美術館は好きで何度も訪れていますが、きっと近年仲間入りした

今を生きる作家の作品も増えていることと思います。

今回、館を代表するような作品が多くやってきていますが、

その間、倉敷ではどんな展示をやっているのでしょう?

きっとそれはそれで逆手にとって、おもしろいことをされていらっしゃることと

思います。

 

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すごい前のことですが、大原総一郎さんの本を読んで、とてもカッコイイと感激して

友人に貸したらまだ返ってこないので。。。

会場でまた買いました。

本は返してくれなくていいので、それくらいかっこよくなってくれたら満足です。

 

大原総一郎―へこたれない理想主義者 (中公文庫)

大原総一郎―へこたれない理想主義者 (中公文庫)