晶の東京日記

本とかアートのこと。東京にいる間は東京を楽しみたい。

青花の会工芸祭2020「生活工芸以降の工芸」

青花の会の工芸祭2020「「生活工芸」以降の工芸」を見に行った。タイトルは難しい感じがしたけど、ギャラリーが集まって、参加されたギャラリーが同じテーマから個々に表現されるのをを見られるのが貴重な機会と思った。何かを買う、買いたいとかより、見たくて行った。めっちゃ敷居高く感じてたので、話をしてみるなんて全く考えてなくて、会員さんたちのお邪魔にならないように見せていただけたら幸い…くらいな気持ちで訪問。パンフレットにたくさんの考えが書かれていて充実してた。

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予想に反して、ギャラリーの方々は話し掛けてくださったりして、短い会話でもそれぞれ皆さんの想いに触れることができた。また、作家さんをパッと紹介してお話させてくれたりした。作家さんたちも作品についてや、制作の背景をお話してくださったりと、嬉しい誤算で楽しい時間を過ごせて有り難かった。

印象に残っているのは、発掘された古代のガラスのような質感に、ご自身の生まれ育った土地の気候や空気感を閉じ込めたような美しいグラデーションが表現されたガラス作品。色や表面の景色、気泡、厚みなどが光の加減で様々な表情を見せてくれる。現代の新品の美しさより、経年したものに美しさを感じて、ご自分の方法で作り出されている発想も技術もすごいと思った。

また、木を使って彫刻のようなかっこいい形を作り出されている作家さんもとても良かった。作品も素敵な佇まいではあったけど、作り方がすごく興味深かった。木と相談しながら作っているという言葉が印象的。そして、木と対話しながら作っているという、言葉なくして木と交流できるって、それくらい木とともにあるのもすごいと思った。制作中に木に引き寄せられて虫が寄ってくることさえも楽しまれていたり、自然と一体になって美しいものを作っているという感覚がすごくよかった。こういうエネルギーでできているものが暮らしの中にあったらいいなと思った。

私事になるけれど、数日前から、パナソニック留美術館て見たジョージ・ナカシマさんの「木のこころ」という本を読んでいたので、木とか木材の魅力に興味を持っていたこともあり、木を使った力強い椅子、木の個性を生かしたオブジェや繊細さのある軽やかなモビール、樹皮や蔓で編んだかごなどを展示されているギャラリーにも強く惹かれた。ギャラリーの方が木のものを生活に取り入れていて、それらは無くてはならない存在となっていて、今はそれら木のものからエネルギーをもらっていると話してくださった。持ち物や家具や、そういったものからエネルギーをもらえる暮らしって想像してなかったし、すごくいいなと思った。また、それを感じ取ってる感性がすごいなと…。木の持つ力のすごさ。ジョージ・ナカシマさんの言ってることが身近に感じたりもした。

 

そして、ある意味一番印象的だったのは、洋服を扱っていたギャラリー。素材とシルエット、仕様のバランスなど、日頃感じていることに共感できた。天然素材の服の多くは私の好みとかけ離れていて、素材は好きでも着るには抵抗があったりしてたので、ちょっとヒントをいただけた。そのちょっとが意外に大きかったので、本当に出会えて良かったなと思った。

 

「生活工芸以降の工芸」というテーマが一番すっと心に響いたのはうつわノートさんの展示で、装飾工芸の魅力を改めて認識できた。今までの工芸の中でも、民藝などの実用の美に惹かれる自分とは別に、宮川香山出石焼、マイセンのスノーボールみたいな繊細で細やかな技巧が作り出すびっくりするような美しい世界も魅力的に感じる自分もいる。ただ、猛禽類の超絶技巧や東洋風なきらびやかな模様や絵柄は今っぽくないし、スノーボールも可愛いけれどやっぱり貴族じゃないと日常では使えない。そこで、掌に収まるようなサイズから、日常を共にできる大きさや用途のめちゃくちゃ繊細で可愛くて美しすぎて、宝物みたいな作品がたくさんあって、日常使いの工芸品やかっこいい抽象的なオブジェとは別で、本能的に欲しくなるみたいな作品の展示が、すごく新鮮だった。香合みたいな世界にも見えた。また、棚の上に、花びらが刻まれたようにひらひらとした曲がったチューリップが活けられた花器があって、その組み合わせがかっこよかった。ギャラリーの方にお話を伺い、花の生きる姿は多様で様々な課程もある中で作家さんがこのような視点で花を見ているのかと思って、そちらも新鮮だった。私の知らなかった美しい世界をを提示していただいたギャラリーだった。

 

多くのギャラリーを駆け足で拝見し、想いを日用品や暮らしの中のもので表現するいろいろなスタイルを見られたことが収穫だった。私なりに暮らして、共感できる出会いを多く持ちたいと思う。

東京オペラシティアートギャラリー「白髪一雄」

東京オペラシティアートギャラリー「白髪一雄」を見に行きました。

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すごかったけど、思ってたより激しくなかった。

自分の中でジャクソンポロックと混ざってしまっていたところがあって、今回、初期作品から見ていって、年表で生涯を辿り、白髪さんの内側の熱さ的なものを感じた。子供の頃から中国の古典文学や書に興味を持っていて、具体美術協会のメンバーとして数々の新しい表現を行い、また、密教の修行をして得度され、またアクションペインティングに戻る。水滸伝シリーズや獣の毛皮が貼られている作品や仏教にちなんだタイトルなど、白髪さんの精神性を感じるような表現もあり、ほぼ初見(数点見たことあったけど)の私には把握しきれなかった。でも、白一色、黒一色の作品により凄みを感じ、迫り来るものがあったので、魂レベルで響くものがあると思った。言葉にできないけど、それでもいいかなと思う。

 

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文化学園服飾博物館「ひだ 機能性とエレガンス」

文化学園服飾博物館の「ひだ 機能性とエレガンス」を見に行きました。ひだと総称している中に、プリーツ、ギャザー、タック、シャーリング、フリル、そしてドレープも含まれて、ひだのある服が勢揃い。2階は機能性に着目した展示、1階はエレガンスに着目。文化はコレクションが豊富で、それぞれ状態も良いのでさすがと今回も感激。たまたまギャラリートークの時間で参加させていただき、いいお話をいろいろ聴けました。

エレガンスの方は、生地をたっぷり使うことや難易度の高い技法の生地を用いることで豊かさや権威を示しているということで、手間隙含めて贅沢なものばかり。男性は大きく威厳あるように見せたい願望が大きいとのことで、めっちゃ大きいコートとか長さ8mくらいの腰巻きとか。日本の裃もありました。着るだけではなく、自己アピールという服の意味を改めて見ることに。女性はその要素強めで分かりやすいですが、男性は大きくというのが生物共通のようで面白い。ディオールやグレなど近代のデザイナーのドレスは今様で優雅で美しかった。全体を通して「ひだ」の担う役割の大きさや、生地の特性をより生かす技法でもあることを感じた。

機能性の方は民族衣装における機能面の特徴について触れられているのが興味深かった。例えば、山岳民族は着丈が短いスカートのような形が特徴で、それは暮らす土地が傾斜がきつく足さばきの良さからきているとか。また、合わせて脚絆も装着していることが多く、脚絆は足の疲労軽減とのこと。助さん格さんとか江戸時代でも歩くときしてるので、足に巻くと疲れないというのも初めて知った。また、韓国やモンゴルでは馬に乗る習慣があったため、胸の下あたりからゆったりしたスカート状のシルエットになっているチマチョゴリやコート(デール?)は、馬に乗れる形であったなど。それらのゆとりや動きやすさを出すためにひだを作って膨らませたり、分量を出したりしていた。

また、気候に対応するためにひだを用いているとのことで、それは新鮮だった。寒い地域では、首回りや袖ぐりにシャーリングやギャザーを寄せて体熱(熱は上に昇っていくので)が逃げず溜められるようになっていたり、さらにスカートを長くしたり、エプロンなどを重ねて空気の層を作り、暖かな空気を身体との間になるべく溜めるようになっているとか。ルーマニアの衿ぐりが詰まり、袖がフワッとしてエプロンをしている可愛らしい衣装は防寒のためでもあったのか…と驚きました。暑く湿気の高い地域では、ゆったりとしたドレープを纏うことで、空いた部分から空気の入れ替えができるようになっているとのこと。インドのサリーや、東南アジアで男性がひだを寄せたロングスカートのようなボトムを纏っているような。昼夜の寒暖差が激しい中東でも、ゆったりとした上衣やパンツ(ウエスト7mくらいあってシャーリングする)で、温度調整をするそうです。また、イスラム女性が身に付けているブルカには砂漠の砂ぼこりから身を守る意味もあるそうで、着てないと髪や鼻口などから砂が入ってしまうとか…。

民族衣装についてほ今までは宗教的な視点や冠婚葬祭の風習や手仕事の細やかさからのアプローチが印象的だったので、機能面から分析してるのが一番興味深かった。自分が新卒で最初に就いたアパレルの仕事がスポーツウエアの企画だったこともあったので、機能的な服にはグッときてしまう。スポーツ、アウトドア、ミリタリー、ジーンズなどの機能やそのための仕様はおもしろい。民族衣装は刺繍など手仕事面では興味があったけど、どんな土地や環境で暮らすための服なのかと思うとより興味深い。

 

ひだの技法を拝見し、そんな気づきを感じた面白い展覧会でした。

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パナソニック汐留美術館「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」

パナソニック留美術館「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢展」へ。こちらの美術館の夜間開館は初めて。割と人が多かった。

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縦向きの写真が横向きになるのが直らないので、Instagramと同じ正方形に。。。

 

モダンデザインというジャンルについては知らないことも多いけど興味はある!という感じで、今回着目されているうち、イサム・ノグチ以外はお名前を聞いたことあるかな?くらいでした。

まず、高崎の実業家で高崎の文化支援に尽力した井上房一郎氏については大変興味深かった。どんな人か知りたい。彼がブルーノ・タウトを高崎へ迎え、タウトは高崎で約2年を過ごしました。タウトといえば桂離宮を始め日本の建築をたくさん見て回られたとは聞いていたけど、高崎に滞在していたとか、デザインした工芸品を銀座の井上氏の工芸店で販売してたとか、すごく興味が湧きました。また、建築家のレーモンド夫妻(夫人はインテリアデザイナー)の建築物や家もとても素晴らしく、そのスタイルで自邸を建てた井上氏は本当に興味深いと思った。また、ジョージ・ナカシマの木に対する熱意と彼の家具の存在感にも惹かれるものがあった。

それなので、帰宅してから図書館で井上氏、タウト、レーモンド夫妻、ナカシマ氏の本をリクエストして借りてきたのでこれから読みます。

私的にはきっかけの展覧会だったので、ゆっくり深掘りしていきたい。


イサム・ノグチの言葉が印象的だった。

「ただ芸術、彫刻というよりね、芸術と人間との関係が大事だと思うのですよ。ただ、偉い芸術品がどっかの美術館に入っているというより、芸術が生きているところにあるということが大切だと思う。」
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芸術を傍らに生きていけたら幸せ。

先日見たミナの展覧会での、皆川さんの「クリエイションと一緒にいる喜び」という言葉を思い出しました。

工芸青花「生活工芸の作家たち3:もよう」

生活工芸という言葉を近年聞くようになり、興味を持って、関連する展覧会を機会があるとき見に行っています。「工芸」という概念自体に混乱しているので、本当に見てみるだけ。。。と思って、工芸青花の展覧会「生活工芸の作家たち3:もよう」を訪ねました。今回は生活工芸の作家さんである、辻和美さん(ガラス)、安藤雅信さん(陶)、三谷龍二さん(木工)の展示でした。

ギャラリーの方とお話させていただき、とても有意義で楽しかった。いろいろ見てきてよかったなと思ったり、もっといろいろ見たいなと思った。言葉で表現できるほど自分の中では咀嚼できてないので、文章を読んだり考えたりする時間をちゃんと作りたい。それと、自分がいいなと思うものを身近で使って、料理や食事などもっと楽しみたいな。工芸品はそれができるから。

辻さんのデュラレックスのグラスを一点ものの手仕事で再現されたグラスが印象的だった。改めて、生活とものの関係を考えます。


来週は青花の会工芸祭。

ご案内をいただいたので、楽しみです。
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マスク品切れだったけど。


離れて暮らす友人に、新型コロナウィルスの影響で東京ではマスクが品切れしてるとLINEしたら、すぐにドラッグストアを見に行って、私の分まで送ってくれた。しかも、他の除菌や予防グッズもいっぱい送ってくれて、その中に地元の果樹園で作られた美味しいものや、地元に咲く花をイメージしたパッケージもおしゃな入浴剤、そして元気に暮らす様子が書かれたお手紙まで入れてくれていた。有り難いし、優しすぎて感激でした。お母さんみたいな愛情。恐縮な気持ちとか申し訳ない気持ちもありながら、やっぱりとても嬉しいと思った。


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実は、今の職場では世間のマスク欠品を受け、会社に備蓄していたマスクを1人1箱ずつ配布してくれました。すごく有り難かった。それほど危機的状況なのかもしれないけれど、インフルエンザにかかったことも予防接種もしたことのない私は普段からあまり予防に力を入れてないし、危機意識が低いと思うので、周りの方々に助けていただいてる状況がなにより有り難いと思った。

そういえば、東日本大震災の時も…と思い出した。私は約10年暮らした関西から東京に引っ越した3週間後に震災にあった。その時東京でもトイレットペーパーや食品が欠品していて、心配した関西や他地域の友人たちが「なにか送る?」と気にかけてくれていた。その時は大丈夫だったのでお世話にならなかったけど、気持ちが嬉しかった。

 

そろそろ甘える時期を越え、私からもすぐに手を差し出せるようにありたい、そこに楽しさや元気をお裾分けできるような要素も盛り込めるようでありたい、それくらい自分が安定し、視野を広く在りたいと思った。

 

そして、新型コロナウィルスが被害を拡大せずに、早く収束することを願います。

国立近代美術館工芸館「パッション20」

北の丸公園にある国立近代美術館の工芸館が金沢に移転のため、現在開催中の「所蔵作品展 パッション20」が最後の展覧会となるとのことで、訪問。
 
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「工芸」ってなんだろう?と改めて思いました。美術との違い、現代アートとの境界、用の美、オブジェ、桃山復興。。。キャプションや受付でいただいた立派な冊子を読みながら、今までも様々な表現や考え方を模索されてきた工芸について考えながら鑑賞。結果よくわかんなくなってしまったのですが、それほどの多様性や広がりを感じて、そして自分の視野の狭さと知識の乏しさを感じました。
でも、この展示はすごく分かりやすくて、説明だけでなく優れた実物があるので、各時代の工芸へのパッションを感じながらもう少し読み解きたいので、再訪しようと思います。よって、感想らしいことが書けません。。。
ただ、各々の作品は技巧の高さや表現力など、知識がなくても圧倒される気迫ある良品揃いでした。


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