晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

サントリー美術館「美を結ぶ。美をひらく。」へ

2021年になって初の美術館巡りはサントリー美術館「美を結ぶ。美をひらく。」へ。予約制でもなく、人数制限もされておらず、検温・消毒以外は割と普通。翌日28日が最終日で混んでいるかと思いきや、コロナ前と比較しても落ち着いて見られるような人の入り。今回は収蔵品からの展示のようでしたが、コレクションの充実ぶりを感じる内容でした。

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以下、私の個人的な感想です。

陶器は有田と鍋島が多かった。左上のみ古伊万里。模様の入り方が面白くて素敵。他は鍋島。右上は毘沙門亀甲という文様。格調高い柄とのことですがとっても緻密。左下の紐の柄は斬新。右下は鍋島という感じの綺麗なお花でした。 

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下は4枚とも鍋島。左上の柄が現代っぽい。形は朝顔形、モチーフは大振りの花あるいは光とのこと。海外の器のような印象でした。下2枚は同じ柄で色違い。色で印象がだいぶ異なっているように感じた。

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紅型染のコーナーでは型紙の展示もありました。とっても細かい柄と切り取る技。下に映る影の乱れのなさに職人の高い技術力を感じます。

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大きい模様は糸で繋げてあった。
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松皮菱文様が配置された染めもの。刺し子をしたとき日本に昔から伝わる文様が多く出てくるけれど、松皮菱も刺し子で知った文様の一つ。美術館や博物館などで古いものを見ているとよく出会う文様。
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日本のガラスも綺麗でした。薩摩切子など。
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今日のお目当てはエミール・ガレの「ひとよ茸」ランプ。
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学生の時に諏訪北澤美術館に行って、このランプを見てガレの制作への想いを知って感動したのを思い出します。ひとよ茸ランプは人の一生を例えていて、小さく若い幼年期のきのこを青年期のきのこが寄り添い、それを守るかのように壮年期の立派なきのこが隣にいる。ガレは植物や昆虫がモチーフの作品が多いけれど、ただ美しいだけじゃないガレの信念や哲学があると思うと作品は人生だなって思う。

ガレの「風景」。木立の向こうに人里の風景が見えるという情緒ある作品。ガレの円熟期の作品とのことで、ガレの心の風景はこのように見えたのかなとも思いました。

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コロナで生活様式に変化があって、美術館も以前に比べて入場者が激減していると思います。でもこのような機会を得られることを有難く思う。今まで話題性のある展覧会を追って気忙しく美術館をはしごしたり、混雑した中でイライラしながら見ていたことを振り返ると、美術館が大切に集めてきた収蔵品をゆっくり見ることも素晴らしいことだし有難い機会だと感じます。もちろんマスコミ主催の大規模展覧会にも普段見られない貴重な作品を見られる良さがあり、その恩恵を受けてきたことも良い経験だったと思うので、これからは自分の鑑賞の形も変えながら美術に親しんでいきたいと思います。