晶の東京日記

本とかアートのこと。東京にいる間は東京を楽しみたい。

文化学園服飾博物館「ひだ 機能性とエレガンス」

文化学園服飾博物館の「ひだ 機能性とエレガンス」を見に行きました。ひだと総称している中に、プリーツ、ギャザー、タック、シャーリング、フリル、そしてドレープも含まれて、ひだのある服が勢揃い。2階は機能性に着目した展示、1階はエレガンスに着目。文化はコレクションが豊富で、それぞれ状態も良いのでさすがと今回も感激。たまたまギャラリートークの時間で参加させていただき、いいお話をいろいろ聴けました。

エレガンスの方は、生地をたっぷり使うことや難易度の高い技法の生地を用いることで豊かさや権威を示しているということで、手間隙含めて贅沢なものばかり。男性は大きく威厳あるように見せたい願望が大きいとのことで、めっちゃ大きいコートとか長さ8mくらいの腰巻きとか。日本の裃もありました。着るだけではなく、自己アピールという服の意味を改めて見ることに。女性はその要素強めで分かりやすいですが、男性は大きくというのが生物共通のようで面白い。ディオールやグレなど近代のデザイナーのドレスは今様で優雅で美しかった。全体を通して「ひだ」の担う役割の大きさや、生地の特性をより生かす技法でもあることを感じた。

機能性の方は民族衣装における機能面の特徴について触れられているのが興味深かった。例えば、山岳民族は着丈が短いスカートのような形が特徴で、それは暮らす土地が傾斜がきつく足さばきの良さからきているとか。また、合わせて脚絆も装着していることが多く、脚絆は足の疲労軽減とのこと。助さん格さんとか江戸時代でも歩くときしてるので、足に巻くと疲れないというのも初めて知った。また、韓国やモンゴルでは馬に乗る習慣があったため、胸の下あたりからゆったりしたスカート状のシルエットになっているチマチョゴリやコート(デール?)は、馬に乗れる形であったなど。それらのゆとりや動きやすさを出すためにひだを作って膨らませたり、分量を出したりしていた。

また、気候に対応するためにひだを用いているとのことで、それは新鮮だった。寒い地域では、首回りや袖ぐりにシャーリングやギャザーを寄せて体熱(熱は上に昇っていくので)が逃げず溜められるようになっていたり、さらにスカートを長くしたり、エプロンなどを重ねて空気の層を作り、暖かな空気を身体との間になるべく溜めるようになっているとか。ルーマニアの衿ぐりが詰まり、袖がフワッとしてエプロンをしている可愛らしい衣装は防寒のためでもあったのか…と驚きました。暑く湿気の高い地域では、ゆったりとしたドレープを纏うことで、空いた部分から空気の入れ替えができるようになっているとのこと。インドのサリーや、東南アジアで男性がひだを寄せたロングスカートのようなボトムを纏っているような。昼夜の寒暖差が激しい中東でも、ゆったりとした上衣やパンツ(ウエスト7mくらいあってシャーリングする)で、温度調整をするそうです。また、イスラム女性が身に付けているブルカには砂漠の砂ぼこりから身を守る意味もあるそうで、着てないと髪や鼻口などから砂が入ってしまうとか…。

民族衣装についてほ今までは宗教的な視点や冠婚葬祭の風習や手仕事の細やかさからのアプローチが印象的だったので、機能面から分析してるのが一番興味深かった。自分が新卒で最初に就いたアパレルの仕事がスポーツウエアの企画だったこともあったので、機能的な服にはグッときてしまう。スポーツ、アウトドア、ミリタリー、ジーンズなどの機能やそのための仕様はおもしろい。民族衣装は刺繍など手仕事面では興味があったけど、どんな土地や環境で暮らすための服なのかと思うとより興味深い。

 

ひだの技法を拝見し、そんな気づきを感じた面白い展覧会でした。

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