晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

「カタストロフと美術のちから展」

カタストロフとはフランス語で「大惨事」だそうです。実はそれを知ってから、見たくなりました。それまで人名だと思ってたので…。不謹慎なようですが、今年も平成の間も災害が多かったので、アーティストたちはどう反応したのか気になりました。年内に見ておきたかったです。
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前半は大惨事と向き合うような、記録的な作品や風化しないようにとの思いを感じるもの、そして見えない大惨事を表出するような作品でした。自然災害や人為的な災害以外にも、精神や心、社会現象の歪みや痛みだったり…現代のこともあれば過去のこともありました。自分に重なることはやはり重たく感じます。

後半は、そんな大惨事からどう前を向いていくのかという行動と表現でした。
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自然災害などでは衣食住やライフラインをサポートする専門家や有志の方々がいらっしゃいますが、アーティストも心のケア、意欲の復活、楽しみや喜びを思い出してもらったり、コミュニティの団結など、幅広い場面で活躍されていました。また、自分自身の内なる惨事を癒すような作品もありました。
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↓この「つくることは…」がすごく心に響きました。

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武器を集めて鐘をつくる試み。

歴史では鐘を提供させて武器を作っていた、その逆の発想。こういう分かりやすい形で平和に向かえばいいのにって思う。
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こちらを見て、インナーチャイルドの癒しを思い出さずにいられなかった。
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最後の方で池田学さんの《誕生》がありました。画面下方に津波や瓦礫が描かれていますが、そこから木が生え花を咲かせ。。。壮大な作品。完成まで3年以上を費やし、小さく細かい線で細部にまでいろんなものが描かれ、それらは象徴だったり記録だったりしています。日々少しずつの前進が大きな結果になるのはもちろんですが、その1日1日にもドラマみたいなことが起こったりしていることを改めて感じ、感動しました。昨年初めて見たときから好きな絵です。
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じっくり見ようと思ったら何時間でもいられそうな充実の展示でした。海外の方も多くいらっしゃっていました。いい展覧会でした。