晶の東京日記

本とかアートのこと。東京にいる間は東京を楽しみたい。

印象派の女性画家「メアリー・カサット」の魅力の詰まった、江國香織さんのトークイベント

横浜美術館で6月25日から、「メアリー・カサット展」が始まります。

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メアリー・カサット展 / 2016年6月25日(土)~9月11日(日) / 横浜美術館

 

カサットは印象派として活動された女性画家。

アメリカに生まれ、21歳でパリへ渡って絵を学び、生涯パリで生きました。

女性の画家がまだあまりいない時代に、印象派という革新的なグループで

表現を模索しながら、新しい技法も積極的に取り入れ、精力的に活動されました。

女性や子供のいる日常を油彩やデッサン、版画などで描いた作品は

あたたかさ、やさしさが感じられ、海外では人気があるようです。

今回の横浜美術館での展覧会は日本では35年ぶりとのこと。

 

開催記念イベントとして、江國香織さんのトークショーが9日にありました。

記者の方々への発表を兼ねているため、一般枠で応募して当選できました。

うれしい!

 

私は江國香織さんの書くものが好きです。

30歳の誕生日にエッセイをプレゼントしてもらって初めて読みましたが、

江國さんの感性や言葉のつかい方、描く描写がとても好きです。

先日ブログに書いた江國さんのご著書「日の当たる白い壁」には、

カサットの絵も紹介されていました。

大原美術館の2つの絵―江國香織さん『日のあたる白い壁』 - 本と共に暮らす晶の日々

 

私はそちらでカサットを知ったのですが、学芸員の沼田さんが

今回江國さんにお願いしたのは、こちらの本に取り上げられていたからですと

おっしゃられていたので、それもとてもうれしかったです。

 

江國さんは本からのイメージ通りでした。

私が思っていたよりもすごくかわいらしい方でした。

飾らない感じで、まっすぐにものを見て捉え、自分の表現で話し、

言葉や語彙が豊富で、豊かな感性がすごく伝わってくる方でした。

さすが、小説家!と思ってしまう自分の語彙の貧困さにあきれます。。。

 

イベントでは沼田さんが展覧会の作品や見どころをご紹介してくださった後、

お二方の対談でした。

美術館について、先述の「日の当たる白い壁」について、カサットの作品や

人間性についてなど。。。楽しいお話がたくさんでした。

 

カサットは油彩以外にも、銅版画や鉛筆画などの作品も残していて

絵に対してたくさんチャレンジもして、積極的でした。

女性が絵を描くということでお父さんにも激しく反対された時代の中で、

単身パリで好きな絵を描き続け、イタリアやスペインで巨匠たちの絵を模写したりと

努力を積み重ね、サロン出品を目指しました。

その後、当時前衛的で革新的な印象派に所属し、作品を発表したり、銅版画に熱中、

また、パリで見た浮世絵版画展で感銘を受け、作品に積極的に取り入れ、

ジャポニズムの画家としても名前があがる存在とのことです。

 

そんなカサットは新しい時代を切り開いたエネルギッシュな女性、

自立していて、バイタリティがすごくある女性だったようです。

江國さんはその他にも不穏なところを感じると言っていましたが。

 

カサットはパリに来て画家のドガと親交があり、ドガから教えを受けたり、

印象派に誘われて一緒に活動をしたり、銅版画を共に研究したり、

また、ドガの最後はカサットが看取ったとのことでした。

ドガとの関係は?恋愛関係だったのでは?

カサットは晩年ドガの手紙を全部焼いてしまったらしいです。

それは。。。隠ぺい工作では?やっぱりあやしい!(笑)

など、女子トークのような内容もあったりして、カサットに親しみを感じました。

 

皮肉屋で攻撃的なドガとどうして付き合っているの?と聞かれたカサットは

「それは私が自立しているからよ」と答えたそうです。

結婚に頼ることなく自分の意志で自立した生き方を貫いたカサットだったようです。

 

江國さんは「日の当たる白い壁」の中で23人の画家を紹介し、

その中に女性は、カサット、オキーフ小倉遊亀の3人でした。

意識していなかったそうですが、3人とも女性の日常を題材にしても

甘くなりすぎず、叙情に流されず、明晰な視線が感じられる。

女おんなしてなくて、知的であり、しっかり自分を主張できるけど、

とても女性らしく、女性を謳歌した人たちでもあったという点が共通している。

と振り返って述べられていました。

 

他にもいろんな貴重なお話を聴かせていただきましたが、

カサットのような女性であることを謳歌しながら、自立している女性というのは

今からの時代に合っているように感じます。きっと共感できる女性も多いと思います。

このタイミングでカサットの作品が見られることは幸せです。

 

本物の絵は印刷物とはまた違う魅力があるとのことなので、肉眼で見ることが

楽しみです。展覧会でカサットを感じてこようと思います。

 

展覧会の準備に4年もかかるとは知りませんでした。

学芸員の沼田さんの熱意のこもった展覧会が、今からとっても待ち遠しいです。

落ち着いて上品にお話される沼田さんの中に、熱い想いがこもっていたので

とても素敵だなと思いました。良い作品を日本に呼んでいただけてうれしいです。

 

6月25日(土)~9月11日(日)横浜美術館にて。

※4月4日までは先行ペア券2400円が販売されていて、1人400円もお得です!

 

京都展は京都国立近代美術館にて。

9月27日(火)~12月4日(日)