好きな画家を上げてくださいと言われたら、
私は迷わず「小倉遊亀さん」と答えます。
小倉遊亀さんの日常を描きながら、常に絵は明るくチャレンジしている空気が
とっても好きです。
生き生きした絵、綺麗な色、年々豊かに広がる表現も。。。
実際には今のように女性が仕事をしていない時代に自分を表現する絵を描くお仕事を
されることは大変だったことと思うのですが。
それなので、私も今日は竹橋にある東京国立近代美術館の展覧会へ行ってきました。
安田さんの透けるような綺麗な色や余白の美しさ、上品な絵はとても魅力的でした。
歴史の場面を描かれたものが多いのですが、古典を紐とき、ご自身の想像の中で
イメージを作られて表現されていらっしゃるようでした。
歴史もとても勉強されたでしょうし、腕や首などの身体に身につける装飾品や、
手に持つ道具類なども丁寧に描かれていて、確かに博物館や正倉院展で見る道具や
装飾品なのですが、このように使われていた様子を表現し、仕事がとても丁寧だと
思いました。キャプションに製作年と並んで年齢も書いてありましたが、
若いときから惜しみなく才能を発揮されていたのは、この真面目な姿勢があって
のことかと思いました。
私が特に感動したのは「夢殿」。28歳の時の作品です。
※画像は滋賀県立近代美術館のホームページよりお借りしました。
作品は東京国立博物館蔵
着物の色と柄がとにかく美しくて、見とれました。
淡いピンクとベージュのような色で、繊細な線で描かれています。
中央にいるのは聖徳太子です。
それと、私は若いときに美術館のボランティアでお世話になっていたのですが、
そちらの収蔵品の中に安田靫彦さんの作品があったので、
今日は懐かしく見入りました。別の美術館でまた再会できるとうれしいものですね。
20代の時にはどれが誰の作品かとか、正直よく理解できていませんでしたが、
いつも見ているとそれは自分の中に蓄積されていて、
年月がたってから引き出されたり、結びついたりするものだなぁと感じています。
だからやっぱりいいなと思ったものはとりあえず見る、感じる、という
スタンスでこれからもいろいろな作品と出会っていきたいと思います。
見に来ている方々もシニア層が多かったのですが、皆さん絵の前で譲り合って、
ショーケースの絵巻などは並んで、ゆったり落ち着いて鑑賞されていました。
結構混んでいましたが、私語もほとんど聞こえてこなくて、静かに見ました。
(先日の若冲展がウソみたいに!)
おばあさまたちの会話が聞こえてきたのですが、
頼朝(右)を堂々と華やかに見せ、義経(左)を地味にさみしく見せるため、
頼朝の背景のみに金粉をまいているそうです。
確かに控えめながらきらきらしていました。
後で見た常設で小倉遊亀さんの絵を見ることができました。うれしい!
※常設展は禁止マークのない作品は撮影可能とのことです。
東京国立近代美術館にて5月15日(日)までです。