晶の日記

見た展覧会や手芸など。時々民藝。

世界史っておもしろい!『仕事に効く教養としての「世界史」』出口治明さんの本

ラカグに出口治明さん(ライフネット生命会長)のお話を聴きに行って、

当日出版の世界史5000年史のご著書を手に入れたのですが。。。

akio422.hatenablog.com

 

5000年!

ちょっとわかんない!!

といきなり尻込みしてしまったので、まずはこちらから読んでみることに。

 

仕事に効く 教養としての「世界史」

仕事に効く 教養としての「世界史」

 

 高校生の時に世界史専攻だったのですが、とにかく単語を覚えることに必死で

一夜漬けで試験もクリアしていたし、概要なんてほとんど理解していませんでした。

セルジューク朝とかアケメネス朝とか、オットー何世、シャルル何世、フランク王国

隋とか漢とか始皇帝とか、聞いたことはあるけど、それがいったいなんだったっけ!?

というのが実情でしたが、読んでみたら、その名前を知っていることで、

なるほどということもあり、若いときに訳も分からず覚えることも大事と思いました。

 

こちらの本では、東洋の歴史、西洋の歴史、その出会いや力関係、宗教について、

アメリカとフランスの特異性についてなど、幅広く俯瞰して描かれています。

 

すごいのが、参考文献をあげていらっしゃらないところです!

出口さんはいろいろなところでおっしゃられていらっしゃいますが、

本が大好き、歴史が大好きで、歴史の本も相当に読んでいらっしゃって、

それからが出口さんの中に取り込まれた状態になっているので。。。

この本もその知識の中から引っ張り出されて書かれたのです。

それを読ませていただけるとはすごくありがたいと思いました。

 

支配者は領土を拡大し、富を得るためにあの手この手を尽くしているのは

今も昔も変わっておらず、すごい皇帝が出てきて国が繁栄しても、

永遠に繁栄ということはない。その繰り返しなんだなというのが率直な感想。

私たちもその中で生きているので、ある日、今までとは異なる状況が訪れても

歴史の中で見たら「そんなこともあるよね」というくらいのことなのかと

思いました。

 

本の中で「過去の歴史を、GDPと人口と気候変動という視点から見つめ直す

ことも、新しい発見や既存の歴史上の常識を覆す、大きな力になるのでは」

とありましたが、今の日本の経済状況や人口の減少と高齢化見る限りでは、

今現在すでに、歴史的変化が始まっているのかもしれません。

 

また、新聞を読み比べたり、英字新聞を週1回読んでタイトルから海外の視点を

把握することもすすめられていますが、今も歴史が作り出されているということを

感じました。そして、自分はどう考えて、どう行動するか?だとも。

歴史を知ることと両輪なのかなと思います。

 

諸外国の成り立ち、宗教観を知ることで海外の動き方が理解できると

この本を読み感じましたが、中でも、歴史のあるアジアや西洋などと、

アメリカの背景や心のよりどころは異なっているということが新しい発見でした。

日本は歴史のある国で、歴史を大切にしてきて、国民の価値観も似ていて

分かり合える部分もあるのは素敵なことですが、

異なる歴史を抱えた国々の、思想や価値観の違いは歴史から成り立っていること、

それを理解することで「仕事に効く」と題名にされていらっしゃるのかなと

思いました。

 

一人の人間でも生い立ちを知ることで相手への理解が深まり、

適した接し方ができるようになるように、国と国とも同じことだと思います。

教養としての世界史。これからも学んでいきたいと思います。

いい本でした。

日本橋三越『下田直子 ハンドクラフト展』を見に行ってきました。

先日地下鉄の中の広告で見て気になっていた、

日本橋三越で開催中のこちらの展覧会を見に行ってきました。

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下田直子 ハンドクラフト展 | 三越 日本橋本店 | 三越 店舗情報

 

平日の昼間でしたが、たくさんの手芸好きな方々で会場は混雑していました。

手芸が愛されていることを改めて実感。

 

下田直子さんは、1953年に東京に生まれ、文化服装学院を卒業後、

ニットデザイナーを経て、渡米、帰国後にニット作品が大好評を博し、

以後、手芸家として不動の地位を築かれたとのことです。

1993年福島県立美術館で開催された「現代の染織」展で、

現代作家の一人にも選ばれたそうです。

芹沢けい介さんや志村ふくみさんとともに選ばれたとのこと。

実は下田直子さんのことを存じ上げませんでしたが、業績の偉大さを感じました。

 

今回の展示作品はとても素晴らしかったです。

ニットの洋服やバック、ストール、クッション、がまぐちやボタンなどの小物。。。

様々な種類の品に、細かく繊細な手技がこれでもかというくらい詰め込まれていて、

技術もすごいと思いますが、私はなによりもデザインや色彩のセンスの良さが

とっても素敵だと思いました。

そのイメージを表現できるほど、自由自在に作成できる技術力があってこそですが。

 

ニットもモチーフをこんなに楽しくつなげ合わせて、なんて自由!

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このボーダーカーディガン、欲しいです。

散りばめられているボタンがまたとてもかわいらしいのです。

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私は特にフェルトの作品が好き!

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展示会場には、デザインソースとなるコラージュやコレクションもありましたが、

「古いものは見ない」といったようなコメントが書かれていて、

常に新しいものを取り入れる新鮮な感性があってこその作品なのかなと感じました。

 

前職で一緒に仕事をしていたパタンナーさんが

「編み物は布帛のパターンとは違う面白さがあって、最近手編みにはまってるの」

と話していたことを思い出し、編み物の表現を楽しめた展覧会でした。

 肩線とかダーツとか、袖つけとかの制約もないし、ファスナーだってくっつけられる。

クリエイティブだなと思いました。

 

個人的には、JAMIN PUECHのバッグとか、la droguerieやエル・ミューゼにある

ボタンやビーズやパーツを見たときのような、ワクワク感、感動を感じて

大好きなものがまた増えました。

 

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売店は同じように感じた方々でごった返して、買い物熱が高くなっていました。

 

三越日本橋本店 新館7階にて、2月15日までです。

 

大原美術館の2つの絵―江國香織さん『日のあたる白い壁』

先日、国立新美術館で展示中の大原美術館のコレクションを見て

国立新美術館『はじまり、美の饗宴展―すばらしき大原美術館コレクション』 - 本と共に暮らす晶の日々

 

江國香織さんのこちらの本を改めて読みました。

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日のあたる白い壁 (集英社文庫)

日のあたる白い壁 (集英社文庫)

 

作家の江國香織さんが23点の絵について書かれています。

ゴッホセザンヌユトリロ、ボナール、オキーフ・・・・

小倉遊亀さんの作品も!

たくさんの絵を今までご覧になって、文献も読まれて、想いをはせて、

江國さん の感性で書きつづられたこちらの本は、

作家の個性や描かれた背景が想像できるような、身近で親しみ深くなるような

そんな素敵な本です。

それぞれの作家の代表作とはまた異なった表情の作品が取り上げられていたりして、

読むとますますその作家のことを知りたくなるし、他の作品も見たくなります。

 

こちらに、大原美術館のコレクションが2点紹介されています。

まず、表紙は児島虎次郎さんの「睡れる幼きモデル」。

(上の写真です)

幼い女の子の表情、ドレス、室内の調度品それぞれの質感や色合いが

懐かしさを感じるあたたかい作品。

こちらの絵が描かれたのは大原美術館のコレクションの第1号である「髪」

を書かれたアマン・ジャンに初めて会い、その作品を購入した1912年に

描かれた作品とのことです。

 

もう一つは、カリエールの「想い」

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(本から撮影しました。)

カリエールはフランスの画家で、他の作品にも共通するのですが、

対象の周りが靄がかかったように背景と一体化しているような作品が多いようです。

ロダンと親交が深かったとか。

作家については多くを知りませんが、描かれた女性の物憂げな表情、

見方によっては幸せそうにも、なにかを考えているようにも見えるようなこの表情と

ポーズに惹かれるものがあります。

 

江國さんは「波長の合う絵」とも「心の中に飼ってしまう」とも表現しています。

このたとえが、また絵の魅力を深いものにしているように感じます。

 

他の作品についても、感性豊かな江國さんの絶妙な表現でつづられています。

数年前に読んだはずなのに、今読むととっても新鮮。

気になる絵を見るために旅に出たり、作品集をめくりたくなる

幸福感のあふれる本でした。

 

 

国立新美術館『はじまり、美の饗宴展―すばらしき大原美術館コレクション』

乃木坂(六本木)の国立新美術館に、倉敷大原美術館のコレクションが

やってきました。

さっそく見に行ってきました。

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hajimari2016.jp

大原美術館倉敷の実業家・大原孫三郎さんが1930年に、

西洋美術を紹介するための日本で初めての本格的な美術館を創設しました。

孫三郎さんは倉敷紡績倉敷絹織などの繊維業の本業以外にも、

電力、金融、新聞などの諸事業にも手を広げ、病院や研究所の設立など、

社会貢献や社会福祉にも尽力されたと言われています。

 

芸術家への支援もされており、

画家の児島虎次郎さんのヨーロッパ留学を支援し、

また、児島さんが海外の芸術を日本に持ち帰り、

日本の人々に見せたいという願いに共感し、金銭的な支援をし続けました。

そのお二人の収集した作品が大原美術館のコレクションの始まりです。

アマン=ジャンの「髪」という作品が第1号で、今回の展覧会でも見られます。

 

孫三郎さんは民藝運動の創始者である柳宗悦さんのことも支援し、

日本民藝館大原美術館の工芸館の創設にも力添えされました。

大原美術館には民藝作家の作品も多くあり、浜田庄司河井寛次郎、富本憲吉、

棟方志功、バーナードリーチ、芹沢けい介らの作品を個性に合わせた空間を

わざわざ作って展示されています。

元々は大原家の米蔵で、芹沢けい介さんによって改装されたとのこと。

こだわりが伝わってきます。

 

孫三郎さんの後を継いだ総一郎さんの代で、近現代の作品や日本人作家の

作品の収集も増えて、別館に多く展示されています。

総一郎さんは受け継がれた事業を大きく発展させ、日本の繊維業界にも

大きく尽力されています。(今のクラレです。)

お仕事と美術館で精力的な活動をされる傍ら、音楽や美術を愛し、

ご家族を大切にされていたとのこと。素敵です。

 

児島虎次郎さんの作品と彼が個人的に蒐集してた古代中国の美術品、

また、イランやエジプトなど古代オリエントの美術品は

アイビースクエアの中にある趣のある煉瓦の建物(倉敷紡績の元倉庫)

に展示されています。

 

という話を、

21歳で1人で倉敷に行った私は、シルバーガイドのおじいさんから聞きました。

その時、大原美術館にかかわった方々の夢の詰まった想い、

それを支える決断や行動、そして事業も芸術もそれぞれ真摯に取り組み

結果を出していくエネルギーと行動力、意志の強さなど。。。

人として、本当にかっこいいと思いました。

 

そして、そうして全力で集められてきた大原美術館の作品を見ていると、

古代から現代までの作品について、時代もジャンルも、国や人種の違いも

全てを含んで芸術は存在し、今をつくり、それが過去にもなっていくと

素直に感じることができます。

 

「この時代のこんな絵が好き」とかっていう好みもあるかもしれませんが、

「この時代にこういう人がいた。こういう表現をした。」ということが

今現在へ連なっているということに思いを馳せ、そこから気づきを得たり、

想像が膨らんでゆくことが、美術を味わう魅力の一つであると思います。

 

大原美術館は好きで何度も訪れていますが、きっと近年仲間入りした

今を生きる作家の作品も増えていることと思います。

今回、館を代表するような作品が多くやってきていますが、

その間、倉敷ではどんな展示をやっているのでしょう?

きっとそれはそれで逆手にとって、おもしろいことをされていらっしゃることと

思います。

 

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すごい前のことですが、大原総一郎さんの本を読んで、とてもカッコイイと感激して

友人に貸したらまだ返ってこないので。。。

会場でまた買いました。

本は返してくれなくていいので、それくらいかっこよくなってくれたら満足です。

 

大原総一郎―へこたれない理想主義者 (中公文庫)

大原総一郎―へこたれない理想主義者 (中公文庫)

 

 

『奇想の発見』日本美術史家・辻惟雄先生の回想録

森美術館村上隆さんの展覧会を見て、村上さんの著書を3冊続けて読みました。

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付箋だらけになってます。

もうちょっと読み込んでから、感想を書きたいと思います。

本を読んで、村上さんが好きになりました。

 

www.mori.art.museum

 

展覧会でも、日本美術史家の辻惟雄先生との企画のコーナーがありました。

それはある画家について、

辻先生がエッセイを書き、村上さんが作品を創るという企画。

ここまでやる!という驚きと、内容の濃さで、展示は一部分でしたが

とてもおもしろかったです。

 

でも、おもしろいと、もっと知りたくなるものです。

辻先生の『奇想の系譜』について、村上さんも著書の中で触れられており、

また、村上さんも奇想の画家の系譜を汲むとも言われていらっしゃるようで、

早速読もうと図書館で取り寄せてみたのですが、

ちょっとタイトルを間違えて、辻先生の回想録が届きました(笑)

 

奇想の発見: ある美術史家の回想

奇想の発見: ある美術史家の回想

 

 お父様と同じ医者の道を志しながら、画家に憧れる時期もあり、

ご縁が重なり、日本美術史家の道を歩まれる人生を楽しい語りで書かれています。

2014年発売のため、つい最近までのお話です。

「美術史家」ってなんだかとても堅苦しいような気がしたのですが、

人間味に溢れ、どんな環境でも研究を貪欲に楽しみ、精力的に仕事をされる

辻先生にとても親しみを感じました。

様々な経歴ののち、現在は東京大学多摩美術大学の名誉教授、MIHO MUSEUM館長

として現役でご活躍中です。

岩佐又兵衛や曽我蕭白伊藤若冲を「奇想の画家」として研究紹介し、

プライス夫妻との交流や「かざり」をはじめ、展覧会の企画についてのエピソードなど

こちらの本を先に読んだことで、『奇想の系譜』『奇想の図譜』を読む楽しみも

増えました。

その前に『日本美術の歴史』も借りているので、

しばらくは日本美術三昧になりそうです。

 

30日からの横浜美術館村上隆スーパーフラット・コレクション」を

楽しむために日本美術を頭に入れておきたいです。

 

村上隆のスーパーフラット・コレクション ―蕭白、魯山人からキーファーまで― | 横浜美術館

 

神楽坂・ラカグにて『「全世界史」講義』の刊行記念講演

18日に神楽坂駅前にある

オシャレなshopとカフェの複合施設 la kagu へ。

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カフェのコーヒーは鎌倉のヴィヴモンディモンシュのらしいです。

 

目的は、ライフネット生命出口治明会長の講演です。

当日発売のこちらの2冊の出版記念。

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史

 

 

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史

「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史

 

 本を読むことを好きになった少年時代のこと、

夢中になって読んだ本などのご紹介から始まって、

ライフワークとして歴史が大好きだったことが

どうして出版や講演に結びついていったかというお話も。

出版の際、参考文献をピックアップするのが大変だったとのことで

そのくらい数多くの本を読みこみ、ご自身の内部に蓄積されていらっしゃる

ということにとても驚きました。

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※写真撮影OKでした!

 さすが、インターネットで保険を販売されていらっしゃるだけあります。

 

歴史の中でも、国境関係なく商売は行われ、世界は繋がっている。

だから、日本史というものはなく、全て世界史だというお話が

私は一番印象的でした。

 

今回の2冊は世界史5000年史。

さーっと流して読むのではなくて、じっくりゆっくり読みたい本です。

私も歴史の教養を身につけてゆくきっかけにしようと思います。

↓こちらの本を読んで、教養を身につけようと決めたばかりなので(^o^) 

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歴史がわかることで、今の社会や経済、芸術、文化、思想など、

視野が広がり、ものの見方が変わることは安易に想像できます。

学ぶことで、それを実現したいです。 

 

また、会社の仕事とは違うライフワークを持つことで

人生をますます豊かにできる姿を目の当たりにし、

もっと貪欲に生きようと思えました。

 

出口会長は本当にあたたかいお人柄で尊敬します。

7年前に大阪の講演へ伺ったことを覚えていて声をかけてくださいました。

うれしくて感激です。こんな大人になりたいです。

 

 

『人生を面白くする本物の教養』

インターネットで保険を販売している「ライフネット生命」を立ち上げて、

現在の会長である出口治明さんの『人生を面白くする本物の教養』を読みました。

とても面白くて、2回読みました。

そして、1冊は同僚にあげました。

この本が面白いことがすでに、教養の成せる技。

こんな素敵な大人になりたい!と心から感じた本です。

 

 

 

「自分の頭で考えられることが教養」

「意見が決められないのは、考え不足が原因」

 

など、目次からかなり耳に痛い項目ですが、その通りと思いました。

情報収集には夢中になりますが、自分を通過するのみ。

自分で考えるために情報収集をしたり、調べるということ、

考えて意見とすることを手抜きしていたと反省してしまいました。

 

でも、気づけばやるのみ。

考え方のヒント、本の読み方、人と会うこと、旅をすること、

英語の学び方、時事問題の考え方など

出口会長の今までの人生のノウハウがたくさん詰まった本。

 

まだ解釈しきれてない部分は後々の楽しみとします。

なにより、自分の枠を外す行動をしたいという意欲をいただける本。

年初の決意にとても良い刺激となりました。